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Reach out / CASBAH
失恋船長 ★★★ (2015-11-14 15:04:20)
国産スラッシュメタルシーンを語る上で外す事の出来ないダイハードな男たちによる2015年リリースの彼らが辿ってきた音楽性の遍歴を総括するような濃密な一枚。これまで以上に親しみやすいメロディの導入、それらを明確に際立たせる強靭な躍動感を誇るリズムと突破力の高いリフワークは今まで以上に艶を増し、羽鳥の激烈な咆哮がグイグイと牽引しつつも聴き易くまとめ上げた今作は過去最高の出来栄えを誇るといっても過言ではないでしょう。

かつてのハードコアスタイルにも通ずるハイテンションな楽曲とは違う丹念に構成されたバラエティに富んだ楽曲も収録され、その威厳溢れる力強いパフォーマンスは昔の名前で出ています的なスタンスとは違う今の時代を生き抜く強烈なアイデンティティを誇示、ヘヴィメタルの様式を踏襲しつつも破壊的なニュアンスを駆使する様に改めてひれ伏しました。

また力任せに突進するだけではない芸の細かい演出も冴えわたり、その成果は⑤How Longや⑨のInside Me等の楽曲において顕著に表れているでしょう。モダンさも含めこうして間口も広げより深く深化した音楽性はスラッシュメタルという枠を超えヘヴィなロックサウンドを好む多くの人に訴えかけるものがあるかと思いますね。
多様性を帯びたシーンの中で、これほどオーガニックな響きを聴かせるサウンドと言うのは至極稀有な存在である。勢いだけではない羽鳥の唄は、海外のアクトと比べても引けを取らない貫禄がある。そんな羽鳥の寄り添うようにギターは感情の起伏を叫びあげる。大地を揺るがすトライバルなドラム、その大地を駆け抜ける疾風怒濤のベースはバンドの底を支え、この揺ぎ無きへヴィロックサウンドの根幹を担っています。

個人的にもまっさらな気分でキャリア云々関係なく理屈抜きに楽しめました。ロシアンルーレットの玉、全部入ってたよ。

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