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足利直義
HIGASHI ★★ (2015-05-17 22:39:47)
2015年発行の森茂暁氏の著書であります。
前回「南朝の真実」が思ったより面白かったので購入。森氏のスタイルは歴史書の王道であり、正統派であるが、少々理屈っぽくて読みずらいしとっつきにくい印象だ。
ただ歴史的事実を細かく分析し、理論を固めていくその作業には感嘆とするし、名探偵コナンばりに事件を解決していくあたりはさすがだなぁ、と思うのだ。
亀田氏の本では今一つ釈然としなかった観応の擾乱の分析も森氏のこの本での分析の方が説得力がある。豊臣秀吉もそうだったが、高齢になってから嫡男が誕生し、必要以上にはりきってしまうが、5才にして早世してしまうとまるで抜け殻のようになって失墜していく件は子を持つ男親ならよく理解できる心情である。
南朝ファンの僕としては南朝目線なので、有能な護良親王を謀殺したり、優柔不断な尊氏の尻を叩きながら冷徹に振る舞う直義は冷淡な参謀のイメージでしたが、彼の人生のハイライトでもある観応の擾乱が実に人間らしい理由で繰り広げられた事にはむしろ親近感を覚えてしまうし、その末路には同情もしてしまう。
今まではどちらかというと好きではない武将でしたが、今回この本を読んで親しみを感じられた分、見方が変わりましたね。一生懸命に生きた先人として心に刻みたい・・・・・・。

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