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Heavy Metal Bulldozer / METALUCIFER
失恋船長 ★★★ (2015-05-15 13:36:26)
ブルトーザーとニール田中氏が映し出される小松重機のロゴも眩しいジャケが話題を誘う2009年リリースの3rd。今作は複数枚ヴァージョンが存在し、ワタクシが所持するのは勿論、日本語ヴァージョンです。当然、日本語で歌う方がスムーズに行くので唄が弱いと言われる面は格段にカヴァー、ウジ虫だの油虫だの刺激的な歌詞も飛び出しニヤニヤと笑みもこぼれます。そして二本のアックスメンから繰り出される、咽び泣く哀愁のツインリードは健在、NWOBHM由来のリフワークとツインリードはメイデンだしサクソンだ。サクソンの「Heavy Metal Thunder」を現代に呼び覚まし継承するようなスタイルは、もはや本家がやらないだけに、NWOBHMが好きな人にはたまらんものがあるわけです、小気味いリフワークとメイデンばりの哀愁度MAXなツインリードが濃厚に絡み合い、所狭しと印象的なフレーズが駆け巡り、聴き手の涙を絞りとるでしょう。またサビでは拳を振り上げ歌わずにはいられない扇情力がこのバンドの肝。国内よりも欧米諸国で人気を博し、カッコいいバンドもいるが、安易なモノマネが横行するNWOTHM群とは違う年季の入り方が多くのマニアに訴求するでしょう(2ndで共演したドイツのバンドMetal Inquisitorが「Heavy Metal Bulldozer (Teutonic Attack)」と言うヴァージョンをリリースする事にも繋がるのでしょうね)どんなにそれっぽくても、音そのものの拘りが聴き手によって響き方も違うわけです。このテクノロジーに頼らない音質こそ、実は一番の生命線のような気がしますね。月並みな表現ですが、ヘヴィメタルと言えば、この音をイメージする身としては永遠に色あせる事のないノスタルジー、それはスレスレのところで焼き回しに埋没する「昔の名前で出ています」的なバンドとの明確な違いを計りより密度の濃い作風へと研磨していきます。性格上、秀でた部分を愛でて楽しみのが沁みついているワタクシにとって、メタル愛溢れるTHE望郷なギターと、ボトムを支える力強いベースプレイに魅了されっぱなしです、そして小松政夫ヨロシクなヘヴィメタルシャウトに滞空時間の長いブレンバスターを喰らったような衝撃を覚えずにはいられません。ネームバリューやルックス偏らないマニアとって、このクラシカルな響きは、洗練された旬の若手芸人と言うよりは、TVには出ずとも寄席では確実に笑いを取る、実力派芸人のような手練手管な限りを尽くした、濃密な時間を堪能できる一枚と心に響くでしょう。
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