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Point of Know Return / KANSAS
火薬バカ一代 ★★ (2008-12-06 01:31:00)
全米チャート4位に食い込む大ヒットを飛ばし、プラチナ・ディスクを獲得と、4th『LEFTOVERTURE』と並んでKANSASの
絶頂期を飾る名盤としてファンから高い評価を得る、'78年発表の5thアルバム。(邦題は『暗黒への曳航』)
Voの熱唱が映える、KANSASのポップ・サイドを代表するキャッチーな名曲①や、全米チャート最高第6位にランクインを
果たした叙情的なアコースティック・バラード⑦を収録する等、スティーヴ・ウォルシュの「歌」を中心に据えた作風は、
前作に比べるとややコンパクトにまとまっている印象だが、収録曲は細部に至るまで綿密に作り込まれていて
密度が半端なく濃いため、物足りなさは皆無。何より、ポップに始まり、後半へ進むにつれてドラマティックに
盛り上がっていく本編の構成が、非常に考え抜かれていて素晴しいったらありゃしない。
プログレ的なスリルとポップ・テイストが見事に融合した②、構築美に満ちた劇的な⑤、本編随一のハードさを誇る⑥等、
収録曲の粒の揃い方は、前作にも決して引けを取らないレベルだし、また今回は、時に切なく、時にスリリングに楽曲を
盛り上げる、ロビィ・スタインハート(VIOLLIN)の良い仕事っぷりがキラリと光を放つ。取り分け、本編を
ドラマティックに締め括る大作ナンバー⑨⑩での、息苦しい程にエモーショナルなヴァイオリン・プレイは圧巻。
このアルバム以降、KANSASサウンドにおけるヴァイオリンの重要度が徐々に下がっていく事を考えると、
本作は彼の集大成的作品と言ってもいいような・・・。(んな事ぁない?)
KANSAS入門編として、万人に強くお薦めしたいアメリカン・プログレ・ハード史に残る名盤。
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