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The Headless Children / W.A.S.P.
火薬バカ一代 ★★★ (2014-06-19 23:42:27)
ビジュアル先行の「野獣路線」に行き詰まりを感じていたブラッキー・ローレス(Vo)が、ソングライターとして一皮剥ける切っ掛けともなった、'89年発表の4thアルバム。
彼の特徴的な濁声と、クリス・ホルムズ(G)のワイルド且つメロディックなGプレイを両輪に、W.A.S.P.ならではのキャッチネスを十二分に保持する一方で、本編は過度な装飾が戒められ、代わりにソリッド且つ欧州へヴィ・メタリックなドラマ性が増大。いきなり8分越えの長尺曲で幕の上がる大作主義を掲げて、THE WHO、JETHRO TULLのカヴァーにもトライする等(後者はシングルでリリース)、折からの原点回帰/70年代ブームを追い風とした、威厳溢るる内容に仕上がっています。
そうした作風だからこそ、フランキー・バネリのドラミングや、元URIAH HEEP(当時はBLACKFOOT所属)ケン・ヘンズレーのKeyといった重厚な演奏が違和感なくフィット。特に壮大なOPナンバー①、ロニー期のBLACK SABBATHに通じる③、勇壮さとノリの良さが一体化したアルバムのハイライト④のような名曲が並ぶ、本編前半の充実っぷりは出色です。
次作『THE CRIMSON IDOL』程ドラマティックな出来栄えではありませんが、LAメタル・バンドから本格派HMバンドへと転身を遂げていく、過渡期的な作風が実に魅力的な1枚。
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