この曲を聴け!
Crush / BON JOVI
レナリス ★★ (2005-05-16 17:54:00)
発売日に手に入れた「CRUSH」だったが、ここに至るまであまり聴き込んでは来なかった。
…と言うのも最初聴いた時、どうも「このアルバムは好きになれそうにない」と感じたから。
「ボンジョヴィのアルバムは全てリアルタイムで聴いて来て、みんな愛せたのに、なぜこんな風に感じるのだろう?」と、ずっと不思議だったが、とにかく好きじゃないと思った。
でも、最近「自分の錯覚かも知れない」と思い直し、再び「CRUSH」を引っ張り出して来て、真剣に聴いてみる事にした。
結果は…やはり、好きではないアルバムだった。
別に地味でもいいはずである。
声を張ってるだけがロックにおいて名アルバムではない。
でも、このアルバムには結構キャッチーでメロディアスな曲がある。
と言う事は本来とっつきやすいはずである。
「IT'S MY LIFE」は「LIVIN' ON A PRAYER」のアレンジと「YOU GIVE LOVE A BAD NAME」のメロの一部を足して2で割ったような曲で、ボンジョヴィの音楽が染み付いているファンなら当然好印象を抱きそうな曲だし、「THANK YOU FOR LOVING ME」は誰かが披露宴で流しそうな泣きのメロだし、「JUST OLDER」は爽やか、「SAVE THE WORLD」もすごくきれいなバラード。
この辺りは非常に聴きやすくて、大衆に受け入れられやすい曲だと思う。
そう考えれば本来は「パッとしない」なんて感じないはずのアルバムだ。
そして、ジョンの歌だってとても上手い。
演奏も良い。
なのに何故か心に響いて来ないのだ。
アルバム「THESE DAYS」を聴いてみた。
すごくいい!
これは今聴いてもやはり胸に来るものがある。
曲が好みとか、そういう事ではなく、何か心にグッと来るものがある。
このアルバムのバラード「THIS AIN'T LOVE SONG」はCRUSHの「THANK YOU FOR LOVING ME」よりドラマチックさで言えば欠けているかも知れないけど、「THANK YOU~」よりずっとジーンと来る。
「THESE DAYS」も本当に感動ものだ。
次にDVD「ライヴ・フロム・ロンドン」を見てみた。
このライヴは良い。
ジョンがロック界の王子のごとく、女性ファンにキャーキャー言われているが、そんなところを差し引いてもこのライヴは良い。
見ていると無償に「ライヴに行きたいな」と思えて来る。
それはきっと、彼ら自身が感動しながらライヴを行っているからだと思う。
そのムードが観客にも、映像を見ている者にも震えるほどの感動を与える。
音楽に魂を感じる。
次に「CRUSH」ツアーのDVDを見てみた。
そこには昔より精悍になり、歌も成熟したジョンがいた。
演奏も、リッチーの歌も昔より数段上手くなっていた。
しかし…この映像を見て「自分が「CRUSH」を聴いた時、パッとしないと感じたのは勘違いじゃなかったんだな」と思った。
映像を見ても、感動しなかった。
自分の大好きな歌をジョンが歌い上げている時でさえ…。
「大人になったから落ち着いた」では片付けられないものを感じた。
落ち着くのは年をとれば他のバンドでも昔よりは落ち着いて行く。
仕草も、顔の表情も…。
でも、それでも本人に強い何かがあれば伝わるものだ。
「CRUSH」と「CRUSH」ツアーを通して感じたのは、彼らが本当に音楽を心底楽しんでいる感じがしなかったという事。
それが、CDを聴いた時おそらく「パッとしない」と感じた原因だと思う。
プロだから、乗り気でなくても歌は作れるし、歌える。
「いつも全力でやっている」と言う事もできる。
でも何か…「心、ここにあらず」みたいなものを強く感じてしまった。
あくまで「勘」だが…。
「毎日同じ事の繰り返し。しょせん人生なんてこうやってツアーしてるのが主でしょう。本当に厳しい商売だよ。ショウをやる事は楽しいけど、それ以外は大して素敵ではない」とティコが言っている。
そうだろうな。
本当に想像を絶する大変な毎日なのだろう。
でも、もしかしたらこういう感じが音に出てしまったのかも知れない。
音は正直だなと思う。
↑決してボンジョヴィを中傷しているのではない。
ただ、好きだからと言ってすべてを「まあいいじゃないか」とは見られない目なだけで。
冷静に聴いて、良いものは「良い」悪いものは「悪い」とフェアに判断できるファンでありたい。
また秋にはアルバムが登場するらしい。
是非もう一度心が震えるような、魂のこもったボンジョヴィに会いたい。
今まで数々の名曲を生んで来たのだ。
まだまだ彼らは行ける。
どうか頑張って欲しい。
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