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Cold of Ages / ASH BORER
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-08-28 19:11:20)
2012年発表の2nd。

ファンジンでも大々的に取り上げられていた、ブラックの新興勢力であるカスカディアン・ブラック。その代表的なバンドの新譜という事で、各レビューサイトやブログでも評価され、ショップでも結構推されてるみたいですね。そこまでお膳立てが整ったら、ミーハーメタラーとしては買わざるを得ません(笑)。しかもレーベルは信頼と実績のProfound Loreですし。

大作主義な曲展開かつ、一つ一つの展開のスパンを長めに取り、奥深さや壮大さを演出する作風や、アンビエンス重視の静パート、ブラック特有のノイジーリフがオブスキュアな音像を作り出しつつ疾走する動パートを分けた構成など、この系統のバンドが持つ特徴は備えてますが…SKAGOSやPANOPTICON辺りと比べると、自然崇拝・フォーク的なムードがかなり薄めなのが違いですね。

静パートに於ける、スラッジにも通じる質量感のある引き摺りリフや、暗黒サイケな雰囲気を醸し出すアンビエントといい、動パートに於ける真性寄りのメロディック・ブラック的(若干鬱系テイストも)な邪悪神秘主義的トレモロリフといい、この手のバンドの中では際立って暗黒趣味の強い音という印象。言葉にならない絶叫を繰り返すようなヴォーカルも、生々しく凶悪な感情が篭もっている感じ。

その暗黒性・神秘性の高い曲作りが、カスカディアン勢特有の音像と出会った事で、プリミティブ勢や真性ブラック勢などとはまた異なる質感の邪悪さを手に入れたような音。ダイレクトな嗜虐性を強める方向ではなく、闇で包み込むようなスケールの大きさを演出する方向に進化した感じですね。ポストブラック/アトモスフェリックブラック的な音楽的ラジカルさはありつつ、ブラック本来の邪悪さもしっかり深化させている印象の作品。

個人的には、この手の中ではトップクラスに好みの音かもしれません。一般的なブラックとは異なる方向の感性を持って進化するバンドも嫌いじゃないですけど、やっぱり邪悪で得体の知れないムードが好きで、ブラックメタルに惹かれているので。

→同意