この曲を聴け!
HEDENSK SKIKK OG TRO / VIÐR (VITHR)
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-05-10 21:25:43)
2012年発表の1st。
ザラザラした質感の、擦り込むようなリフを中心に、緩急付けた展開で聴かせる、割とストレートなブラックメタル。トレモロ含有率はそれほど高くないものの、所々で聴ける土着性を感じさせるフレーズなんかは如何にもノルウェー産のバンドという感じがしますね。…個人的にこの作品で特筆だと思うのは、音作りの上手さですね。ザラついたリフの醸し出すくすんだような音像が、どこか儀式めいた雰囲気を醸し出しつつも、ドラムの音はあくまで抜けよく、ダイナミズムを殺していないのが良い感じ。
…作風的に、メロディアスなリードギターによる土着フレーズで聴かせる部分があったり、ヴァイキング的朗唱を取り入れたり、近年のSATYRICON的な威風を感じさせるミディアム、女性ヴォーカルを入れた妖艶なパートなど、楽曲の展開にはかなり幅を持たせているんですが、それら展開の妙を損なうほどRAWではなく、あくまで「くすんだ感じ」の音作りなのが素晴らしいんですよね。メロウなリードギターが音像に溶け込んでいたり、威風のあるパートではグルーミーな質感も同時に感じさせたり、この音作りは作風に対して完璧にプラスに働いている印象。
2008年結成、1枚目のアルバムを出したばかりという、このジャンルでは新進気鋭のバンドですが、しっかり筋の通ったノルウェジアン・ブラックを演っていてかなり好印象。その手のマニアならば押さえておいて損はないバンドかと。
→同意