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Iv:arrow in Heart / AOSOTH
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-04-23 23:34:10)
2013年発表の4th。
オールドスクールな印象も強かった1stと比べると、随分深遠な方向に舵を切ってきましたね…。最早「粗い」「ノイジー」では済まされない、暗黒のエナジーが凝縮されているような、凄みの効いた音色のリフと、不穏とか不吉とかを通り越し、聴いてるだけで不幸が降りかかってきそうな邪悪なトレモロを用い、スケールの大きな禍々しさを演出していく音。パーカッションやSEを用いたパートや、混沌とした雰囲気を孕んだ大作主義の展開なども合わさり、血腥さと宗教的な深淵さを両立した仕上がりになっていると思います。
確かに、大作主義な作風であったり、宗教的な深遠さを感じさせる雰囲気、不穏なメロディ使い等という点では、巷で言われている通りDEATHSPELL OMEGAに通じる点もあると思いますが…MkM氏の臓腑から生々しい憎悪を吐き出すかのような、憎しみの篭もったがなり声、ANTAEUSに通じる、暴虐なだけではない、殺気すら感じる殺伐とした疾走パートなど、このバンドならではと言った部分もしっかり残してあり、全く模倣めいた感じはしないのが素晴らしい。
しかし、ドゥーミーなミドルパートの、邪悪な力が目視できそうなレベルの凄みの効き具合も然る事ながら、疾走パートがリフとの兼ね合いでヤバい事になってますね…。禍々しいトレモロと暴虐疾走の組み合わせでは恍惚感すら感じるし、ギュルギュルと焦燥感を煽るようなリフと組み合わさった時は何かに追い立てられるような、不安極まりない気分になるし…こういう、単なる邪悪さを超えた何かを感じさせてくれる所に、個人的には高尚さを感じたりもするんですが、この音に対して「高尚」なんて褒め方したら、逆に殺されそうですよね(笑)。
ただ、唯一の不満はジャケが微妙な事でしょうか…なんか数年後に特価品コーナーで投げ売られてそうなチープさを感じるんですが…。それ以外は文句ないです。擬似的に、地獄を体感できるような凄まじさの作品。
→同意