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Necrohell / NIHIL NOCTURNE
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-04-01 00:50:38)
2003年発表の1st。
タイトルが端に小さく記載されてる上、側面にバンド名しか書いてないのでレビュー書くまでセルフタイトルの作品かと思ってました…店で買う際は注意が必要かも。

スタイルとしては、純度100%の混じりっ気なしのブラックメタル…という感じですが、RAWな音作りを身上とするバンドの中でも、曲と音質がピッタリ合っているように思います。多少耳に痛いような耳障りなギターの音、意外に良く聞こえるベース、生々しいドラムにうっすら妖しいキーボードが絡む、カルトながら脳内補完が必要な程ではない、ある意味程良いネクロさの音質が、邪悪さを最重視したような陰湿な凶暴さを孕む曲調とマッチしてる。

音質や曲調に衝動的な凶悪さがあったとしても、リフに込められたメロディには叙情性があったりするのがこの手のバンドのお約束で、この作品にもそれは当てはまるんですが…リフのメロディにはメロウさ以上に、RAWブラック特有のヒリついた感覚が強いのも素晴らしい。発声の上手さとか関係無しに、ただ目の前のクソヤローをぶっ殺してやりたいみたいな、憎しみを搾り出して叫ぶヴォーカルとも相俟って、非常に殺伐としたムード。

ちなみに後半は音質がより篭もったものになり、更にカルト風味を増してますが前半に魅力を感じた方なら何の問題も無く没頭できるでしょう。最近はブラックのRAW音質をアンビエント的な陶酔感、シューゲイザー的な浮遊感、ディプレッシブな悲壮感などの演出に活用するバンドも少なくないですが、この作品はストレートに生々しい殺伐さを伝えてくれますね。NEHEMARやTYMAH辺りの、代表格バンドより一歩踏み込んだカルトさのあるバンドがツボな方にお勧めです。

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