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Tales of the Sands / MYRATH
火薬バカ一代 ★★★ (2012-03-29 23:21:19)
アラビア語で「遺産(MIRAS)」を意味する単語をバンド名に冠し、アフリカ大陸(!)はチュニジアから登場した5人組が、フランスのBRENNUS MUSICから'11年に発表した3rdアルバム。
出身地が珍しければ珍しいほど、バンドにはエキゾチックな要素を求めてしまうのがリスナーの(というか俺の)性というものですが、本作はその期待にしかと応えてくれる出来栄え。
元々はSYMPHONY Xのいちフォロワーとしてキャリアをスタートし、作品を重ねる毎に彼らのルーツであるところのチュニジア伝統音楽のエッセンスを大胆にフィーチュア。プログレ・メタルならではのエッジの効いた構築美と、女性Voにヴァイオリン、舞踊調のリズム、そして妖しくも美しいアラビックなメロディとを融合させた「プログ/パワー・オリエンタル・メタル」の確立に邁進した彼らの努力は、日本デビュー作ともなった本作において見事に結実しています。
この手のサウンドの先駆者としてはKAMELOTの名前が真っ先に思い浮かびますが、MYRATHの場合、アグレッションやへヴィネスよりオーガニック且つメロディアスな要素が前面に押し出されており、また、近年のKAMELOTがモダンな洗練と引き換えに薄れさせた「キャッチーさ」「メロディの色艶」が全編に亘って充実しているのも評価ポイントで、特に⑧⑨は、このバンドとこのアルバムの何たるかを知らしめるに十分な名曲。
今後、やや類型的な楽曲とサウンド・プロダクションの改善が図られれば更なる名盤も生み出し得るポテンシャルの高さが伺える1枚。

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