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Empires De Glace / FROZEN SHADOWS
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-08-10 19:03:12)
96年発表デモを99年にリレコーディングして再発したもの。

このバンドは、90年代初期のブラックメタルシーンに相当な思い入れがあるらしく、だから故意にこの作品も音質を粗いものにしているらしいですが…同じカナダではSHADEなんかがそうですが、北欧の初期ブラックシーンへの憧憬が高じて、そのムードを引き継ぎつつ、一部そのシーンの作品を越えたとすら思わせる作品を出すバンドがいますが、この作品はまさにそんな感じ。

作風は、まさしくバンド名が指し示すとおりですね。
凍てつくような寒々しいトレモロリフを交えて疾走しつつ、妖しい影がよぎるような空間系、宗教的な荘厳さを醸しだすオルガン系などの音色のキーボードを挿入した、メロディックなブラックメタル。裏返る寸前まで引き絞ったような高音絶叫スタイルのヴォーカルも、真に迫った何かを感じさせてくれます。

前述したように、この作品は初期ブラックのシーンのムードを継承するため、故意にネクロな音像を演出していますが…これが雰囲気作りに非常に奏功しているんですよね。低音質だからこそ出来る黒い音に靄のようなキーボードが入ると、まるでそれが幽霊の顔に見えるような不気味さがある。個人的には、初期SATYRICONの作品にも通じる超自然的な恐怖感を感じました。

まとめると、ムードの演出に非常に優れた、キー入りのメロディックなRAWブラックと言えるかと。レビューを見ると、最初期のEMPEROR辺りが引き合いに出されることが多いようですが、それも頷けるムードがあるように思います。

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