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Capricorn / CAPRICORN
火薬バカ一代 ★★★ (2011-04-20 08:49:45)
大成こそ出来なかったが、コアなスラッシュ・メタル・ファンからは未だ高い評価を受けるフランクフルト出身の4人組スラッシャーGRINDERが、CAPRICORNと改名してトリオ編成で再スタートを切った後、'94年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。
ロックロール系の括りに入れられる事の多い彼らだが、実際に演ってるのはMETAL CHURCHやVICIOUS RUMORSといったバンドの名前が思い浮かぶパワフルなパワー・メタルで、基本的にはGRINDER時代と大差ないサウンド。
但しそれをスラッシュ・スピードではなく、グッと腰を落として、よりメロディアスに、より重厚に演っているのが本作(と言うかこのバンド)の特徴で、中でも、ステファン・アーノルドのタイトで切れのあるドラミングを推進力に、エイドリアン・ハーンの男気背負ったヤサグレVoと、猛々しいリフの刻みからドラマティックなソロまでセンス良くこなすデヴィッド・ホフマンのG、それにドイツのバンドらしい憂いを帯びたメロディとがスクラム組んで突進する①~④の畳み掛けに、このバンドの真髄を見た次第。
アコギが紡ぐ哀愁のメロディと、GRINDERの頃よりも更に技量を高めたエイドリアンの歌声が胸に沁みる泣きのバラード⑤、殺気立ったGリフがジェイソンの振るう鉈を思わす『13日の金曜日』へのトリビュート・ソング⑥、そして最もスラッシュ時代の残り香を漂わすアグレッシブなスピード・ナンバー⑦辺りが、個人的に特にプッシュしたい名曲なれど、それ以降もドラマティックな⑧、ノリノリの⑨、勇猛なメロパワ・チューン⑩と、本編に捨て曲の類は見当たらない。
中古屋で3桁の値段で捨て売られているのを見かける度に、「クオリティに相応しい扱いを受けられていないなぁ」と溜息をつきたくなる1枚。
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