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III / VOW WOW

こねこ王子 ★★ (2007-12-29 00:22:00)
「VOW WOW Ⅲ」(86年1月28日発表)
まず最初にどうでもいいことだが、このアルバムの正式名称は「Ⅲ」ではない。
私はVOW WOWをリアル・タイムで聴いていた世代である。ライブにも二回、足を運び、今では「無かったことになっている」人見元基のMCも生で聞いた。そして、何よりVOW WOWは私の生涯のアーティストである。
元々は(今も変わらないが)私は「V」派である。本作も好きだが、最終的に愛聴しているのは「V」。その理由を説明する前提として知っておいて戴きたいのは、私はVOW WOWをジャパメタとは全く思っていないし、真のインターナショナル・アクトと捉えていることと、日本ロック史上云々などではなく当時のVOW WOWの音楽性は世界最高水準であったと考えていることの二点である。ゴージャスさこそ劣るが「V」は「1987WHITESNAKE」と比較しても何らおかしくないアルバムだと思う。
私は、当時から「Ⅲ」には致命的な欠陥があると思っていた。
ひとつは、録音。メタリックと言えば聞こえは良いが、いくら何でもハイがきつ過ぎる。聴いていると耳がキンキンして来る。
ふたつめは、楽曲とプロデュースの練り込みの甘さ。あのいい加減なコーラスは何とかならなかったのだろうか?デフ・レパード並に、とまでは言わないが、雑なハーモニーとそれに輪を掛ける録音レベルの低さ。「SHOT IN THE DARK」は、そのおかげで折角の名曲が台無しにされている。勿体ない話だ。そして、本来であればアルバムの白眉となったであろう「SHOCK WAVES」は、山本のE-BOWを使った間抜けな尺八ソロが全てをぶち壊している。何故、あんな馬鹿な真似を止める人間が周囲にいなかったのか今でも不思議でならない。厚見はあれで納得していたのだろうか。(因みに「SHOCK WAVES」のベスト・テイクは「LIVE AT BUDOKAN」だと思う)
アルバムはVOW WOWらしいヘヴィ・チューン「GO INSANE」で幕を開ける。(サビがFLATBACKERの「DEATHWISH」に似ている)そしてお馴染みの名曲「SHOT IN THE DARK」。コーラスが・・・残念。この位置に無くてはならない捨て曲「RUNNING WILD」を経て、超名曲「SHOCK WAVES」。ソロは先ほど苦言を呈したのでいいとして、この曲はフェイド・アウトで本当に良かったのかという疑問も。(ライブでのアレンジが格好良すぎるから)アルバムは軽快な「DONCHA WANNA CUM」、自分たちで勝手に名曲と言っていた「NIGHTLESS CITY」、大きなノリが気持ち良い「SIGNS OF THE TIMES」(個人的にはN・マーレイ時代にリメイクされた「SIGNS OF TIMES」のほうがサビが整理されていてノリも良くなったので好き。「LEGACY」と「TWIN BEST」に収録。但し「TWIN BEST」は曲名を間違っているので要注意)と続く。珍しくクラシック(バロック)風味の「STAY CLOSE TONIGHT」、いきなりヘヴィ・メタルの「YOU GOT IT MADE」、(上手いバンドは何をしても上手い)そして最後はバラード「PAINS OF LOVE」(私にはこの曲の良さが全く解らないのだが・・・)。
散々、好き勝手なことを書きやがってと感じられる方もおられるかもしれませんが、私は「真のファンこそ最高の批判者であるべき」と考えているので・・・。盲信するだけがファンだとは思いません。