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WINDING ROAD
Mr.sfz (2003-09-02 19:26:00)
家の中からはドタドタと慌ただしい足音、悲鳴交じりの声などが聞こえており、傍から見れば何かとてつもない惨劇が繰り広げられているようにしか思えないだろう。しかし二人はなにやら呆れ顔で、屋内から大きな音が聞こえるたびに眉をひそめている。
「お待たせ!」
一瞬訪れた静寂の後、窓から顔をのぞかせたのは表の二人とほぼ同い年と見える少女だった。しばらくして扉を勢いよく開けて飛び出してきた彼女は、階段の軋みに顔をひそめながらも、足をもつれさせんばかりに門の前まで駆け下りてくる。
「遅—い!」
「ごめんごめん。さ、行こ!!」
悪戯っぽく舌を出してみせる彼女に、待ちくたびれた様子の二人は一瞬顔を見合わせたあと、文字通り息のあったため息を漏らした。
「…いつもこうなの?」
「今日はましな方。小さい頃なんかお昼に約束してたのに、行ったらまだ寝てたし」
「いいじゃん別に…今日はちょっとしか待たせてないし…」
「あのね、ギャビー。普通ちょっとって言わないよコレ」
昔の話まで持ち出す友人にギャビーと呼ばれた少女は口を尖らせるが、痛いところを突かれて二の句を継げなくなる。確かに、町の中央に建つ大時計の針は、さっき部屋の中からちらりと見たときより明らかに進んでいる。それも大幅に。
「今日も明日も、昨日だって、一度きりしかないって言うよ?」
「…それ、カイの受け売りじゃない」
ギャビーは不貞腐れてプイとそっぽを向いた。
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