この曲を聴け! 

死にたくなるような駄作
絶叫者ヨハネ (2006-03-05 16:37:00)
8 U2のZooropa

これは「賛否両論を巻き起こした作品」としてかなり有名。
(彼らのように「たんに音楽的な理由だけで」正面切って批判しづらいような存在が「駄作」を出した場合、一般にこのように表現されます。一種の婉曲表現です。音楽誌などでこのフレーズが出てきたら注意すること。)

前作の「アクトンベイビー」がよかっただけに(私的には「WAR」とならぶU2の最高傑作)今作にも大いに期待を寄せていたのですが……。一聴後の正直の感想は「……ボノが狂った!!」というものでした。Voに以前の精悍さが感じられない上、楽曲が本当に、死ぬほどつまらなかったのです。音質、曲調、メロディの質と何から何まで、申し分のないほどチープで劣悪。前作からたった二年弱の間にこれほどレベルが落ちるものなのか、信じられない思いでした。

もともとこのバンドは名曲と駄曲の落差が非常に激しく(余り語られませんが「偶像として拝む」のではなく「ミュージシャン」としてU2を聴いている人はだいたい知ってます。)、だいたいどのアルバムにも救いようのない駄曲が幾つか入っているのですが、今回はその数が異常です。これではまるで全曲駄曲のみの、ベストならぬワースト盤です。まともに聴けるのは「Zooropa」と「Lemon」(これは名曲)のたった二曲のみという散々な出来。

ボノがテクノ/エレポップにハマッたのが災いの元凶のようですが、よくぞまあこんな音像にして、エッジがキレなかったなあ、と心底思います。だってギターがほとんど入っていないもの。いや入っているのかもしれないけど、自分の耳にギターと識別できるような音がほとんど聞こえてきません。一部の曲にかぎって、後ろの方でごくかすかに鳴ってるのがかろうじて分かるだけです。後はやたら無機質で無愛想な電子音が憎らしく鳴り続けるだけ。こうまで音作りが偏っているとほとんど「エッジいじめ」と言うに近い気が。前作での大活躍でボノを喰ってしまったのが恨みを買ったのでしょうか?
なんにしても自分たちの音楽の長所を潰してしまうような方向性をあえて選択したわけで、こうなるとほとんど自虐的ですらあります。とりあえず、かってのソウルフル&カリスマティックな魅力は影も形もなし。

なお、次作の「POP」もこれに負けず劣らずの駄作ぶり。
90年代のU2は本当にボロボロでした。
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