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Nevermind / NIRVANA
クーカイ ★★ (2001-07-08 18:55:00)
"彼"が死んだと知った時、「何故死ねるのだろう」と思った。ドラッグが彼を殺したのだが、愛する妻や娘に対する思いは、ドラッグなど凌駕すると私は思ったのだ。
だが、脳内に満ち満ちた唾棄すべき化学物質に死をほのめかされ、彼は逝ってしまった。それが現実だ。
本作はNIRVANAのメジャーデヴュー作にして最大のヒット作だ。1stはあまりにもダークで、かつ破滅的。ほとんど自慰行為に近い(それでも見るべき楽曲はあるのだが)。3rdは本作の成功で反動的に(必然的に)1stの世界観に半分戻ってしまった。NIRVANAの作品で、本作は一番とっつきやすい。
大ヒットしたのも当然だ。時流が鬱を求めていたし、比類なきポップセンスが破壊的にラウドなギターで表現されていたのだ。
耳になじむメロディーを持つハードな楽曲。歌詞はこの上なくダーク。'90年代初頭、皆が望んでいたものがこの上ない形で与えられた。
しかし、この作品が"彼"にドラッグを買う金を無尽蔵に与えたのも事実だ。金を出したのは誰だ?それだけでなく"彼"に人生を幸福に生きるうえで無用のプレッシャーを与えたのは?
・・・我々だ。我々が"彼"を殺したのだ。
本作を聴くと、どうしても"彼"に伝えたかった言葉を思わずにはいられない。
中島らも氏が(うろ覚えだが)こんなことを言っていた。人生には20年、もしくは30年に1回"生きていて良かった"と思う瞬間があるのだと。その一瞬のために生きているのだと。
妻子を得て私も思う。らもさんの言うとおりだぜ。カート。

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