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The Ethereal Mirror / CATHEDRAL
絶叫者ヨハネ ★★ (2006-03-03 22:37:00)
カテドラル……、舌の使い方が悪い人にはきわめて発音しづらいバンド名。
カテドラル……、ヨハン・ボス+水木しげるを地でいく、妖怪百鬼夜行の奇天烈なアートワーク。
カテドラル……、ジャケット裏の余りに強烈すぎるメンバーフォト。魔の気配を放つ四体のサイコ地蔵。
カテドラル……、リー・ドリアン、ドリアンの怪しすぎるキャラ&ヴォーカル
カテドラル……、アンダーグラウンドの怪人にして、ファンからマニアへの生ける洗礼の扉……
カテドラル……、君もおいでよ、地下のお花畑、みんなで踊ろう、サバトの宴。リーが笑顔で待っている。

カテドラル……、
とにかく「妖しい」、「マニアック」、「地下世界」、「クスリ派」と極めてディープな方々とのイメージがありますが、このアルバムは非常に聴きやすいです。彼ら特有の雰囲気を保ちつつも、スロー&ヘヴィな正統派といってもよいHMを繰り広げられています。トリップ感も含まれていますが、素直に格好いい、繊細な哀しみにあふれて感動的、何よりこれこそヘヴィメタル!!!と叫べるようなサウンドです。とくにFountain of Innocenceは醜くき現在から輝いていた過去への、退行的夢想感がなんとも儚く美しい、カテドラル屈指の大名曲。私がこれまで耳にしてきたHM曲の中でも、トップクラスに数えられる素晴らしい曲です。中間部の甘美な叙情から、苦渋に満ちた叫びへの実に滑らかな移行、「醜」から「美」そして再び「醜」への絶妙な流れのなんと素晴らしいことよ!!。

全体を見渡しても、ドゥームにありがちな単調さはなく、ヘヴィなところは徹底的にヘヴィに、逆にメロウな所はメロディがいっそう引き立つようにと、「押し」と「引き」の感覚を心得ていらっしゃいます。こういう「曲展開の美」「流れの自然さ」こそ最近のメタルコアやモダンメタルにもっとも欠けているものです。まさに王道ここにあり、何も疾走&泣きメロばかりがHMではないと、ということを学ぶには最高のサンプルではないのでしょうか。
とにもかくにも、妖しく古びた大聖堂の扉をこじ開け中に入るには、最適の一枚。ポップとカルトのバランス感覚がすばらしいです。
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