この曲を聴け! 

Moon Magick / Amok / SENTENCED
ゴリャートキン ★★★ (2008-05-26 11:49:24)
これだけの名曲なのにポイントが少ない・・・
まぁSENTENCEDの売りと言えば、何と言ってもメランコリックなメロディ、寂しく哀しく美しい楽曲群なので、
こういうダークでオカルティックな雰囲気の曲への注目は少なくなってしまうのかも知れない。
しかしこれは本当に名曲なので、「あのアルバムの後半にそんな良い曲あったっけ?」と思っている人は再注目!
あと、ダークな音楽を愛しながらも「センテンスト?ああ、あのおセンチなバンドね」と忌避してる皆さんも是非聴いてみて欲しい。
ギャロップ気味に疾走する美しいリフは、夜の闇を刺し貫く月の光と、それに導かれて集まる獣たちを想像させる。
バックでは鳴り止まぬ狼の遠吠え、なんと美しくも禍々しいことか。
そして、歌が入ってくると、今度はダンサブルと言えるほどノリノリになる演奏。
まるで、うら若き乙女が、髪を振り乱し胸を振るわせ足を踏み鳴らしながら、狼へと変身していくかのように。
なぜ狼男でなく、狼女なのか?
これは歌詞に引きずられたイメージで、実は誤りなのだ。
さかんに出て来る「彼女」というフレーズ。しかし歌詞の内容をちゃんと読めば、これはどこぞの娘のことではなく、「月」を指していることが分かる。
文頭でなくとも常にHer 、Sheと頭文字が大文字になっていることからも間違いないだろう。
だから「彼女に洗顔フォームをつけてやる(adopt Her facial form)」というのは誤訳。
adopt(選ぶ)というのが訳しにくいが、別に出て来る歌詞「face Her nightly shape」と対比して考えると「月の形(今宵の満月)を受け入れろ、月の形に共鳴しろ」という意味になるのだろう。
つまり、満月を前に、「お前が何者か思い出せ!満月がどんな意味かを思い出せ!血のたぎりを感じないのか!?」と言うわけだ。おおコワい!
また、俺は狼男の話として読んだわけだが、そうしたファンタジック系統の曲以外のものとしても処理出来る。
珊瑚はなぜか満月の夜に限って産卵するとか。また満月の夜は犯罪が増える(もちろん、単に月光による明かるさが関係しているだけかも知れぬ)。
つまり満月の輝きがスイッチとなり、潜在的犯罪者が狂気に目覚めるという、リアルな暗黒物語である。
歌詞には、殺せ、死、血、などのような直接的なフレーズはない。しかしそれが逆に想像をかき立て、ただただ不気味だ。
そして勿論素晴らしいのは、歌詞以前に楽曲自身がそうした雰囲気を完全に持っている事だ。
→同意