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Art of Life / ART OF LIFE / X JAPAN
夢・マグナム・ナイト ★★ (2004-03-23 23:53:49)
有名であって無名である。
それは、Xファンを含めた一部のロック・ファンにとってこの30分近い大作は非常に有名であるのだが、ラジオでもかからないし、TVではもちろん、演奏できないから、一般音楽リスナーにはほとんど知られていないからである。
さて、楽曲に関してだが、正確には29分というランニング・タイムであり、(CDプレイヤーによって表示が異なる)これは、ヨーロッパのプログレのような長さである。
だが、楽曲の構成は、初めに噂されていたものより、少し散漫な出来であるように思えた。いや、散漫というか、冗長である。
初めのバラード部のメロディはコード進行は非常にシンプルだが、一つの楽曲として成立するぐらいかなり洗練されたメロディで、ここだけを聴いても、かなり綺麗で美しい。
問題は前半15分のインスト・パートのリフの繰り返しやソロ・パートのハモリが果たしてあれほどフレーズを多くしたのは正解だったのだろうか?という気がする。確かに、全体像を考えると、ああいったリフの反復が楽曲の巨大さを物語ってもいるのだが、
少し削ってもいいような気はしてくる。
それと、後半のピアノ・ソロの音像が異常にサウンド的にバンド・サウンドから浮いて聴こえる。
さらに、Pataさんのギターの刻みがあれほどの物凄いものなのに、ギター・サウンドが薄いために、存在感がなくなっていることだ。
しかし、あら捜しばかりかいてしまったような気もするが、あの当時の日本で、Yoshikiさんも語っておられたように、オーケストラ・パートとスラッシュ・メタル的なギター・バッキングと、ピアノの独奏を全部同じ楽曲の中で巧く融合させて聴かせるためのプロデューサーというのが見当たらなかったために、Yoshikiさん自身がプロデュースせざるを得ない状態になったのだから、これは、これでかなりの労力を要しただろうということは想像に難くない。
メロディは美しい。前半で登場するチェンバロの響きや、サビのパートの壮大な雰囲気、そして、切ないピアノの反復フレーズ……これは、Xというバンドの集大成であろう。
ただ、Xというバンドが素晴らしかったのは、この楽曲を、フル・ヴァージョンで二夜連続でライヴで行なったことだ。私は、どちらの日も見に行っているが、これだけ複雑な楽曲をよく演奏したと思う。
通常、このテの30分台の楽曲というと、プログレでもインプロビゼーションがメインであるが、この曲は、そういった箇所はピアノ・ソロだけであるから、構成は物凄く複雑なのだ。
ライヴ・ヴァージョンのサウンドは逆に良かった。
いろいろ難癖をつけてしまったようですが、やはり、大変な楽曲であると思います。
今後のYoshikiさんの作品に期待します。
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