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Eparistera Daimones / TRIPTYKON
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-04-25 10:38:00)
2010年発表の1st。

…基本的には、スラッシュベースでありながら、スラッジ並の異常なヘヴィネスや、ブラックの邪悪さまでも呑み込んで別の何かになってしまった、「Monotheist」の路線を引き継いでますね。非デス声ながら、ブラック然とした凶悪さ、威厳を増し、世の中の苦痛を全て背負って言葉を吐き出すようなヴォーカルを始め、邪悪さは更に上がっている印象。

特に最近のブラックの新しいバンドに顕著なんですが、邪悪さを追及するのに、例えば音質を故意に落とすであるとか、アンビエントやノイズと融合するであるとか、様々なバンドが様々な手法を用いていますが…このバンドは、スラッジ的な重さや、クラシック的なピアノの導入など、他ジャンルとの混交も一部にあれど、基本的には「リフ」が邪悪さの全てを担っているのに凄みを感じるんですよね…。「Monotheist」の時も褒めましたが、こんな周りの空気すらガン化させるような、黒い狂熱を孕んだリフを聴かせてくれるバンドは、メタルの歴史全てを紐解いたとしても、ほとんどいないと言っていいのではないでしょうか。

…「時代を築いた」と言えるほどに後続に影響を与えたバンドが、全盛期の勢いを失って只の懐古趣味や、全盛期の作風の縮小再生産、新しい事に手を出そうとして空滑りする…等して、駄作を作ってしまうことは珍しくないですが…このTRIPTYKONはそういう位置からは最も遠い所にいると言えるのではないでしょうか。これだけメジャーなバンドでありながら、どんなにアングラな、カルトなバンドと比べても邪悪さで劣ることは先ずありません。

メタルでも最高級の邪悪さ・異形性を、新人バンド顔負けのフレッシュさで届けてくれる名盤。ただ、3ヶ月限定のスペシャル・エディションというのは何か引っかかるなぁ…。期間過ぎた後に、デラックス・エディション発売とか狡い真似だけは止めて欲しいです(笑)。

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