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Live in the Nightmare / 鼓太蝋
Usher-to-the-ETHER ★★ (2008-08-23 15:52:00)
2008年発表の、オリジナルとしては二枚目となるフルレンス。
C-CLAYSやソロでのインストメタルの作品と、彼がヴォーカルを取る「Karm:d」を両方
聴いた時、前者の路線に彼のヴォーカルを乗せたらきっと良いものが出来るんじゃないかと
思ってましたが、これは予想以上に凄い作品ですね…。
路線としては「闇深祭」「真遠の夜」の作風を踏襲しつつ、明確なサビのある分かりやすい
展開を設けヴォーカルを入れた…という感じなんですが、その結果シンフォ/様式美メタルの
煌びやかさやリフを始めとしたバンドアンサンブルへの妥協の無さ、V系のゴシックを噛み
砕いて分かりやすい耽美性を演出した世界観や取っ付きやすい歌メロなど、両者の長所を
上手く合わせ、更に高い次元に達したかのような素晴らしいメタル音楽が実現してます。
所々に見え隠れするプログレっぽい展開も、作風に更に深みを与えてると思います。
殊に素晴らしいと思うのはヴォーカルとメロディセンスの良さ。
ヴォーカルはラルク辺りに通じるV系寄りの歌い方なんですが、声質的に低音で歌い上げてる
時の(陰陽座の)瞬火さんにも通じる色気がある声でほんと素晴らしいです。本人は「好みが
分かれる」と言ってるようですが、確実に作品の売りになっているように思います。
メロディ、特に歌メロはV系ならMOI DIX MOISやRAPHAEL、同人シーンなら六弦アリスや
上海アリス幻樂団辺りの一流のクサメロ使いと互角に渡り合えそうなクサさ。特に7曲目が
素晴らしく、日本でも多くのメタルにはこんな良いメロディは少ないんじゃないでしょうか。
私は歌謡メタルが好きで、それだけに陰陽座の「魔王戴天」には少しがっかりしてたんですが、
そうした人もこの作品を聴いたら溜飲を下げるんじゃないかと思います。
敢えて言うならコンセプトの下敷きのストーリーがちょっと大味なのは気になりますが、
それもSOUND HORIZONやCRADLE OF FILTH辺りと比べての事で、色々と妄想を膨らましながら
聴くのには全く問題はないかと。帯にある「これを聴かずして様式美メタルは語れない」が
全く嘘に聞こえない作品。様式美メタルファン以外にもV系や歌謡メタル好きなら大推薦。
歌メロがいいので、意外とポップスファンでもいける間口の広さもある…かも。
最近ではASRIELやDRAGON GUARDIANなど、アマチュア出身でもDISK UNIONなどメタル関連の
店に置かれるバンドが多いようですが、この作品も是非置いて欲しいですね。
同人系の店よりも客層は確実にマッチすると思う。願わくば自主盤倶楽部などV系の店にも。
しかし、これで委託店舗のマージンも合わせて1260円は安いと思う。
これだけリキ入ったアルバムなら、普通のV系ならDVD付けて4000は取りますぜ(笑)。
まだ昨日買ったばかりなので聴き込み中ですが、個人的にはTRINACRIA、IHSAHN、KOKと並んで
今年のベストアルバム候補。アマチュア・同人のメタルシーンにもメジャーを脅かすほどの
質を持ったアーティストがいる事を知らしめる好例といえる作品だと思います。

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