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新人 / 筋肉少女帯
火薬バカ一代 ★★ (2008-08-31 17:19:00)
恩讐を乗り越え再結成を果たした筋肉少女帯が、'08年に発表した待望のニュー・アルバム(通算13枚目)。ちなみに、全盛期を支えた
ドラマー・太田明は不参加のため、元DEAD ENDの湊雅史ら、複数の助っ人ミュージシャンを起用して、レコーディングは行われている。
で、肝心の内容の方は、「HR私小説」とも評される大槻ケンヂの唯一無二な歌詞世界と、個性的な歌唱スタイル、
橘高文彦の構築美に溢れたGプレイ、そして一筋縄ではいかない楽曲群と、解散前の作風をしっかりと継承しつつも、今回はかなりHMテイストが
前面に押し出されていて、彼らがここまでメタリックなアルバムを作ったのって、初めて(もしくは『月光蟲』以来)なんじゃなかろうか?
特に、バンドのHM面を一手に担う橘高文彦が、過去最多となる4曲を提供していることが本作の「肝」で、しかもそれが名曲“イワンのバカ"の
リメイク③、哀愁のHRナンバー④、荒々しい曲調と、リリカルなピアノの調べの対比も鮮やかなスピード・チューン⑨、物悲しくも攻撃的な⑪・・・と、
その何れもが、アルバムのハイライト・チューンと言っても過言ではない完成度の高さを示しているのだから、何をか況や。
また、バンドの創作面を支えるもう1人のG・本城聡章も、今回は⑫を筆頭に、メロディックかつアグレッシブな
楽曲を数多く提供。本編のヘヴィ・メタル度数の向上に、大きく貢献している点も見逃せないポイントかと。
ただその分、作風から嘗てのような「クセの強さ」が薄れているため、筋肉少女帯未体験のリスナーに取っ付き易い反面、
コアなファンには、薄味で物足りなく感じられる可能性が無きにしも非ずで、熱心なリスナーであればある程、
賛否がハッキリと分かれているのも、確かに理解できなくもないような。
とは言え、個人的には本作の完成度の高さを断固支持。バンドの最高傑作候補として、多くのメタラーに一聴をお薦めしたい所存であります。

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