この曲を聴け!
Systematic Chaos / DREAM THEATER
アナーキーX ★★ (2007-06-20 22:12:00)
待望のニューアルバムの登場!!
今回はTOTのようなメタルな楽曲あり、フロイドのような独自の雰囲気の曲あり、プログレッシブな大作ありとてんこもりな内容。
in the presence of enemiesを分けたのはフロイドのwish you where hereを思い起こさせる。
実際アルバムの流れとしては似たようなものと受け取っても差し支えないだろう。
曲に関しては、scenes from a memoryからと変わらず似たようなインストパートに似たようなボーカルのメロディといった感じで新鮮味はあまり感じられない。
それでも後半の流れは彼ららしい感情の爆発、理想的な曲展開などが目白押しであり、ファンならば一度は聴いてみるべきアルバムだと思われる。
ただ3~4曲目は非常にヘヴィでザクザク刻んで、ペトルーシもゴリゴリの早弾きをしているのでメタルファンでないと聴くのが辛いと思う。
逆にTOTが好きな方にはたまらない楽曲であると言えよう。
プログレファンには是非一度耳にして欲しい尺の長いドラマティックな楽曲もある。
このsystematic chaosはそういった意味でバラエティに富んだアルバムなので、前回まで明確なコンセプトに裏付けされていた作品とは全く別次元のアルバムと考えていいかもしれない。
それに伴ってジョーダンが加入してからの作品としては若干聴きこみづらいアルバムになっているとも取れる。
何故なら以前までは明確なコンセプトに裏打ちされた作品であるが故にメタルファンならTOT、プログレッシブファンなら6DOITといった風に自分の嗜好に合ったアルバムを選択することが出来た。
しかし今回は色んな種類の楽曲が軒を連ねている為、人によっては耳が受け付けない楽曲が存在する可能性があるからだ。
逆に言ってしまえばドリームシアターとは何かを知る為には打って付けの作品ということである。
1つ、確かな事を挙げるとする。
それは彼らは明らかにインストゥルメンタルパートに関して一つの壁に突き当たっているということ。
正直、名盤scenes from a memoryから演奏レベルとしては格段に向上しているがやっていることは全くもって変わっていない。
ギターとキーボードの高速ユニゾンや速弾きは少し減らして初期のダイナミックなリズム的技巧や印象的なフレーズを復活させてほしいところだ。
scoreのanother wonやI&Wのtake the timeなどのような「失速感と疾走感」「目まぐるしく、カラフルなフレーズ」というようなエクスタシーが今の楽曲には不足していると思われる。
今僕が思うのは、彼らには演奏面に関してもう少し視野広げ、ゆとりを持った上で創作活動を行ってもらいたいということ。
確かに今回もインストパートは圧巻であるし、演奏技術は超一流でもあるが、それは既にドリームシアターにとって当たり前すぎるのである。
故に新鮮味が全くもって感じられない。
次回作では是非、このあたりに新鮮味を持たせてもらいたい。
それでは長文失礼しました。
追記
もし彼らのファンであるのなら通常盤より少々値は張るがDVD付きのものを買ったほうが良い。
何故なら彼らのユニークな一面やレコーディングの様子を90分に渡りじっくりと鑑賞出来るドキュメンタリーが収録されているからだ。
他にも5.1chサラウンド形式のsystematic chaos本編や特別なジャケット仕様がほどこされていたりする。
僕はもちろんDVD付きを購入したが大変満足している。