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Deggial / THERION
火薬バカ一代 ★★ (2007-10-29 22:08:00)
ファンの評価が分かれる中期THERIONの作品の中でも、取り分け不人気らしい'00年発表の
この7thアルバムだが、個人的には結構お気に入りの1枚だったりする。
その理由はハッキリしていて、アルバム全編が、壮大且つ優雅なオーケストラ・サウンドに埋め尽くされた分、緊張感や
攻撃性に鈍りの感じられた『VOVIN』や『SECRET OF THE RUNES』に比べ、今回はクリスティアン・ニエマン(G)の
加入効果か、全体的にGサウンドが前に出て来ていて、楽曲にヘヴィ・メタル然としたエッジが戻って来ているから。
5th『THELI』以前の作風が復活したわけじゃないが、要所に配された、IRON MAIDEN風のリフをフィーチュアした
ドラマチックな②、本編随一のアグレッションを発散するタイトル・トラック⑥、BLIND GUARADIANのハンズィ・キアシュが
リードVoを執る⑨のようなヘヴィ・メタリックな楽曲が、アルバムの流れに起伏を生み出すと同時に
全体のテンションを高める働きをしていて、聴き進めてもダレることが殆どない。
勿論、生楽器の使用により、一層、音色に深みを増したオーケストラ・サウンドや、格調高いオペラVoといった要素を
有効活用した、美しくも物悲しいバラード④や、ラストを劇的に締め括るクラシックの名曲
⑪(OZZY OSBURNEやPRETTY MAIDSで有名)を収録するなど、従来のクラシカル路線の追求にも余念はない。
“WILD HUNT"のような分かり易い決め曲に欠けるため、一聴した印象は地味かもしれないが、この完成度の高さは流石だ。
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