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Tribe / SADIST
mokusatu ★★ (2006-05-05 02:35:00)
1stから3年・・・その間、ノルウェーのブラックメタルバンド・MAYHEM内に起きた凶行の衝撃がアングラ・メタルシーンを駆け巡り、AT THE GATES、DISSECTION、IN FLAMESなどによるスウェーデンのメロディック・デス・メタル勢が台頭、CRADLE OF FILTH、DIMMU BORGIR、BAL-SAGOTHなどシンフォニック・ブラックも活発化しており、デス/ブラックシーンはまさに活況を呈して、96年。
そんな状況に発表されたこのアルバムは、そんなシーンの変化を鋭敏に察知、当時の影響をもろに被っている・・・事はなく、影響は全く見られない、どころか時代の流れを清々しいほど完全無視、好き勝手に独自の進化に邁進した内容だ。
前作はあくまでも「デスメタル」という土台の上に、クラシカルな装飾など異ジャンルの音楽性を取り入れていたが、今作はもう「デスメタル」と言えない。デス特有の突貫根性はゼロに近くミドルテンポ主体、そしてシンセの派手さが不可思議な方向に爆発、展開もメタルの範疇を見失った自由さで、ここに唯一無二の「神秘と怪奇渦巻く変態メタル」の堂々完成と相成ってます・・・もしHoly Recordsから発売されてたら「さもありなん」って言ったと思うわ。
肝はやはりシンセで、(多分オリエンタルと言っていいと思うが)この界隈ではそう見られないほどの多様な音色・質感に、さらにSEが加わり、その自己主張は「装飾」ならば明らかに越権行為と言える倣岸さ。そうして溢れるムードは、相変わらずスウェーデン勢のような哀愁一辺倒ではなく、崇高・荘厳・煌びやかでさらに、今作はデスパートが減じた分狂気も担ってもう、叙情的でもクラシカルでもなく、民族音楽みたいというか何かひたすら不気味。前作のような哀愁深いクラシカル・デスを期待すると、確実に評価を誤る。
ただ、デスパートがほぼなくなって、静と動のダイナミズムは減じてますね。曲の長さが基本4分台と実はすっきりしてますし(でも分かり辛いんだが)。
前作からB&VoのAndyが脱退、新たにChicco(B)とZanna(Vo)が加わっている。Zannaの声は、しわがれたTomas Lindberg(AT THE GATES、LOCKUP)といった趣なのだが、デス声というより普通の「わめき」に近い為嫌悪感は薄く、かすれた声質ながら牙をむくそのボーカルは、弱さと怒りを常に発散してて、個人的には大好き。
今作は、無理して比較するなら「シンセを取り入れすぎたDEATH」と言えなくない・・・かもしれない。

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