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Volcano / SATYRICON
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-07-10 22:46:00)
2002年発表の5th。

…私はこのアルバム、以前までは「Rebel Extravaganza」と「Now, Diabolical」の橋渡しをする、言わば過渡期の作品だと思ってたんですが、聞き込むうちに考えが変わってきました。

確かに全体を通じて感じられる厭人・厭世的で色の薄いメロディは4thと通じるし、ロックのリズムのダイナミズムをブラックに取り入れている所は6thっぽいんですが、キャッチーと見せかけて間奏を延々と引っ張ったり脈絡なく女性ヴォーカルが登場したり、ラスト唐突にブラスト入れて曲を終わらせたりといった破天荒な展開がアヴァンギャルドに聞こえる作風はどこか1stにも通じているように思います。1stでは天然でやってるのか、計算してやってるのか分からない感じでしたが、この作品では作曲力が上がった分確信に満ちている感じ。

また、「Repined Bastard Nation」「Mental Mercury」で見せる美しいメロディや、「Black Lava」のエピック性などは、1st~3rdの彼等の個性が形を変えて表れたものにも思えます。SATYRICONって劇的に変化してるように見えて、実は全作品繋がってる気がします。このアルバムからロック的な部分や陰鬱なメロの部分に重きを置いて派生させた進化系が「Now, Diabolical」だと思うんですが、どうでしょうか。

私はこのアルバム、SATYRICONの今まで辿って来た音楽性が騙し絵の様に織り込まれた、集大成的な作品だと思います。もしかしたら彼等の真の名盤と言える作品かもしれません。

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