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Live

後にRISKへと転生を果たすこととなる、ハイミィ・ミークス(Vo、G)が率いた「早過ぎたヴァイキング・メタル・バンド」こと、ドイツのFAITHFUL BREATHが'86年にNOISE RECORDSから発表し、惜しくも最終作となってしまった実況録音盤。タイトルはズバリ『LIVE』。シンプルでソリッド、飾り気はなくとも熱い心意気が詰まった本作に相応しい単刀直入なタイトルではないでしょうか。
‘85年に行われた欧州ツアーから、複数会場のライブの模様をピックアップ。響き渡る野郎共の野太い歓声とヴァイキング音楽風のSEに導かれ、勇ましくもどこか物悲しい名曲①が重厚に炸裂するOPだけで、こちとら胸のエンジンにボッと火が点りましたよ。但し本編は1曲毎にフェードアウトするぶつ切り構成。そのため盛り上がりに水を差されること夥しいのですが、それでも、タイトル通りの猛々しさで突っ走る②は荒っぽく、ヘヴィな④は堂々と、ドラマティックな泣きのバラード⑤はオヤジの哀愁ダダ漏れに切々と…といった具合に、ヒゲ面&ヴァイキングのコスプレというムサ苦しさ満点の風体に相応しい、ガラッパチな熱唱を轟かせるハイミィのVoや、ソロ・タイム⑥やJUDAS PRIEAST型疾走ナンバー⑨でテクニカルな演奏を閃かせるシロ・ハーマンのGプレイが所狭しと暴れ回る楽曲には、スタジオ版を大きく凌駕するライブならではの熱量が渦を巻き、大合唱を呼び起こすラスト・ナンバー⑩まで、前述の欠点を補ってお釣りが来る勢いをキープしてくれています。
BURRN!!誌レビューで、あの酒井前編集長をして「ファンになってしまいそう」と言わしめたクオリティは伊達じゃねえぞと。

火薬バカ一代 ★★★ (2019-03-13 23:46:19)


Skol

バイキングなジャケに釘づけにさせられる1985年リリースの6th。前作同様メロディックなパワーメタル寄りのサウンドを継承、そのスタイルは同郷の先輩アクセプトだし、そしてコンパクトだがメロディックなフレーズが耳を惹くギターはここでも印象的だ。(リードギターのヘルマン氏は後にランニングワイルドやグレイブデイガーに参加)種の仕掛けもないストレートすぎる展開と、ややこじんまりとしたミックスに少々物足りなさを覚えたりするのかも知れませんが、ラストに用意されているタイトルトラックなんて、分かりやすいフレーズがなんとも耳に残り、いかにもジャーマンらしい陽気さが、ビール片手に肩を組みながら大合唱させたくなる気持ちよさがありますよね。安っぽい音質だが、なんとも言えないパンクな弾けっぷりがバンドの魅力なんでしょう。

失恋船長 ★★ (2016-05-15 13:36:51)


Rock Lions

Mausoleum Recordsからリリースされた5枚目のアルバムで彼らを知ったので今作の方向性にはやや戸惑いました。あちらは欧州型のメロディックなサウンドでしたが、今作はドライなハードブギースタイルを基調とした音楽性であり、なぜバイキングのコスプレでこのノリノリのバイカーズロックなんかいな?となるのですが、いかにも1981年的な香ばしい匂いに愛着を覚えずにはいられません。この出で立ちと音楽性を前にプログレ時代があったのか信じられないのですが、ボーカルとキーボードが抜け3人組編成になったのが答えなのでしょう。単調に聞こえるリフとリズムも安定感があるので楽しく聴けますよね。

失恋船長 ★★ (2016-05-15 13:14:32)


Gold 'n' Glory

RISKの前身バンドでデビュー時はプログレサウンドだったのですが、今作はプロデューサーにウド・ダークシュナイダーが名を連ねるのも分かるアクセプト流のHM/HRサウンドを披露、歌の持って生き方もウドっぽく彼らの目指す方向性が明確に伝わります。お約束な疾走ナンバー①、親父声が塩っ辛さを倍増させる泣きのバラード④、タイトルトラックの⑤など秀逸なナンバーも多数収録、大味なジャーマンメタルの中でもワビサビを感じさせる美味しいフレージングで情感を巧みに表わすギターはエエ仕事をこなしております。少々遊び心の少ない無難な曲作りに興奮度はイマイチ低いのかも知れませんが、逆にその生真面目さが生粋のドイツ産サウンドなのかもしれませんね、パッと聴いていてもギターのフレージングにはセンスを感じさせますよ。

失恋船長 ★★ (2016-05-15 12:59:51)


Gold 'n' Glory

人に歴史あり。と言っても、RISKのハイミィ・ミークス(Vo、G)の過去に興味を持つHR/HMファンが日本にどんだけいるのかっつー話ですが。
RISKの前身として知られるFAITHFULL BREATHは、70年代にプログ・ロック・バンドとしてスタートを切るも、アルバムを重ねる毎にアグレッシブに研ぎ澄まされて行き、ウド・ダークシュナイダー&マイケル・ワグナーをプロデューサーに迎えた'84年発表の本作(5th)では、コスプレ姿も勇ましいルックスから雄々しく突き進む楽曲まで、いよいよ立派なヴァイキング・メタル・バンドへと(RUNNING WILDよりも一足お先に)変貌を遂げるに至りました。
まぁジャケットをよく見りゃ、ガレー船の竜は富永一朗先生(お笑いマンガ道場)が描いたような面してたり、船内に張られたテントが紅白模様だったり、そもそも船が空飛んでたりと、アバウト極まりないヴァイキング像だったりするんだけども。心意気は十二分に伝わって来るので無問題。
何より、メロディックなツインGの援護射撃の下、ハイミィがガラッパチに歌い上げる収録楽曲が、そんな些事への拘りを忘れさせてくれる素晴らしさなのですよ。鋭角的なGリフとキャッチーなメロディの組み合わせが秀逸なOPナンバー①や、無心でフィスト・バンギングに興じたくなる⑥、炸裂感溢れる③⑧等のアッパーな楽曲も最高なのですが、ACCEPTばりの掛け声コーラスに血沸き肉踊る②、戦いにくたびれた中年親父の哀愁漂うバラード④、勇ましさの中に落とし込まれた憂いにグッと来る⑤といった、ミドル/スロー・チューンもハートにズドンと突き刺さる出来栄え。
全8曲で収録時間は30分台、不器用でも簡潔明瞭にHMの魅力を謳い上げた1枚。MAUSOLEUM RECORDSからのリリースは伊達じゃない!と。

火薬バカ一代 ★★★ (2015-04-08 23:12:13)