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WAR MACHINE (2024年)
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WAR MACHINE
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解説 - WAR MACHINE
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1. 失恋船長 ★★★ (2024-11-12 16:00:49)

彼は常にネオクラ系のアーティストとの比較を余儀なくされる運命だった。とりわけ、グラハム・ボネットと組みRAINBOWのカヴァーをやったりと、イングヴェイのフォロワーのような状態になる運命を辿る。彼のギタープレイは根本からイングヴェイと違うのだが、その速弾きムーブメントに放り込まれた運命から逃れるのは不可能だった。
グラハムとは一枚で一旦、区切りを付け再びロブ・ロックを組むことで自分のサウンドを模索。二枚目では、お得意の速弾きを抑え音楽性の幅を広げることにチャレンジしたが、支持を得られずに大失速。
その苦難の道のりに負けそうになるのだが、90年代に入り日本のレコード会社を契約を掴み再び脚光を浴びる。勿論、アメリカではグランジ/オルタナムーブメントが吹き荒れ、90年代の中頃には大手CD専門店からメタル系のアーティストは棚から消えた。その現状をビックインジャパンが救うのだが、そこから似たような作風を連発して、やはり求心力を失う。似て非なるを作る難しさ、やっぱりソングライティングは自分の中から湧き出たモノでないとね。再びグラハムと組んだり、モダンな事にチャレンジしたりと紆余曲折を経て辿り着いた今作。

王道をいくアメリカンパワーメタルと高速ギターの融合。正統性の強いメタルをど真ん中でやりきった。ロブ・ロックも衰えてきたが、それでもこの音楽を歌うに適したシンガーであることに疑いはない。インペリテリの相棒を務めるのに相応しい男である。
今作をグレードアップしたのは元スレイヤーのドラマー、ポール・バスタフの加入は間違いなく変革をもたらしている。過去のドラマーも凄いのだが、彼の手数の多い重量感たっぷりなドラムは、ともすればメロディアスなサウンドに陥り、過去作と似た風合いに戻るのだが、今作はそういう危険信号をともさずに高速プレイで駆け抜けてくれた。

流石はインペリテリ、火力の強いシュレッダー、その高速プレイにワクワクゾクゾクと素直に楽しめたのは、後方支援には強力すぎるドラムとベースのテクニカルなプレイによるところが大きい。確実に見せ場が増えた、そのおかげでバンドサウンドを強化され、お得意の速弾き以外にもハイライトと言えるプレイが散見出来るようになったのは心強い限りだ。

それはソングライティング力にも迷いを生じさせなかったレーベルの尽力にもよるだろう。多くのバンドは原点回帰を素直に行う昨今。限られた時間の中で、無理なく素直に求められる音を具現化したのは、往年のファンにとっては手放しで歓迎だ。
似て非なるを作る難しさ、今作は前作とは違う。明らかに焦点が絞り込まれている。ここにきて新たなる聖典が誕生した。インペリテリの決定盤となる一枚だろう。スピードに負けないエモーショナルを込めたインペリテリの新境地、素直に音に乗せられたのは大正解である。



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