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苦楽 (2021年)
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苦楽
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解説 - 苦楽
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1. 失恋船長 ★★★ (2021-08-06 16:32:16)

商業ベースに乗り快進撃を続けるジャパニーズロックの最高峰に位置する人間椅子の最新作。彼等の勢いは国内に留まらず海外でライブを行うのだから、SNSを活用した展開とマネージメントの勝ちでしょう。
無情スキャットなど英訳されてバンバン動画サイトなどにUPされていますからね。そんな世相も影響しているのか今作は今まで以上に焦点が絞れている。和島のポップ趣味や複雑な展開のプログレ的アプローチ、仲間内で楽しんでいるサブカル臭等などを排除、勢いのある楽曲を中心に古典的なロックに根差したハードサウンドを、これでもかとストレートに展開、だからと言って表面的なダイナミズムで誤魔化す訳ではない、彼等らしい奥行きのある展開は十分に感じられ、方向性は絞られたのにバラエティ豊かに感じさせるのは熟練されたミュージシャンによる、表現力の幅が広がったという事だろう。

シンプルかつハードに鳴らしているだけなのに、懐が深くなったなぁと感じさせる成熟された人間椅子ワールド。自らの血となり肉となった先人達のアイデアも上手く昇華しながら、オリジナリティを見事に確立している。初期のスタイルでは手に入らなかった領域に手が届いたのは、自然体の深化と言えるだろう。ここに無理や無駄はない。それにしても、前作よりもストレートに打ち出すとは夢にも思いませんでしたね。

個人的にはドロドロ系も好きなので物足りなさはあるのだが、ギラギラと輝いているのよ、もう爆発的なんです、ダイナミズム溢れるリズムとヘヴィなリフワーク、暴れるだけじゃないワビサビのあるロックサウンドは血を滾らせるのよ。衝動的でありながらも、計算されたベテランの大人げない手腕。ここにきて更なる進化を遂げましたね。古典を用いて令和3年のシーンを牽引するような勢いに満ち溢れた作風を世に送り出しました。

彼等がスゴイのはテクノロジーの恩恵を、この時代でありながらも大きく受けていない。あえてなんだろうが古い機材や手法を大切にしている。でも現代の恩恵は無視していない。そのバランス感覚が人間力の強さを増長させている。
あえて対極にある作風はオジーの最新作と比較したい。あれは、ドラムもベースも音を貰っただけで作り上げたと思うくらいテクノロジーの権化のような音作りであった。ギターは流石に弾いているが、オジーの唄も含めテクノロジーの恩恵を受けまくり、全く人間らしさを感じない作風であった。
ある意味、全然ロックじゃないアルバムでしたが、こちらは、2021年とは思えない作りに終始していた。どうしてもプレイヤー出身なので、あそこまで嘘くさいものは受け付けない。だから、今でもしっかりと演奏しているバンドは高く評価してあげたいと思います。

これが世界的に売れて海外で活躍できるといいなぁ。好き嫌いは抜きで海外で頑張るハード系のアーティストは応援したい、BABYMETALとかガンガン行って欲しいもんねぇ。



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