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My Book Of Answers (2021年)
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1. 失恋船長 (2021-04-30 12:24:42)

HEEP黄金期と呼ばれる音楽性を支えた天才的な鍵盤奏者として知られるケン・ヘンズレーの遺作となった一枚。バンド脱退後の彼の活動はけして順風満帆とは呼べないものだろうが、2000年に入ってからは精力的な活動を行い、ソロ、バンド、合い間にHEEP関連の仕事をこなし、ご健在な姿を見せてはいた。
その反面、何をやりたいのか見えない活動が多く、バンドでアルバムをリリースしたかと思えば、すぐにソロ、それが上手くいかないと思ったらバンドと言うような形の活動が多く見られ、随分と腰の据わりが悪い印象を受けていました。
ベテランなのに、何を焦っているのか?です。その方向性の定まらない活動は遺作となる今作まで続いていますが、今回は、ある意味ベストオブソロアルバム的な多様性を持ち込み、それまでのアルバムからベストな曲を選曲したような印象を受ける。逆を言えば代わり映えのない曲でもあるのだが、焦点を絞り込みメロディアスな作風に傾いている。

しかし、残念ながら、リードシンガーを務めるのはケン・ヘンズレー本人である。彼の唄が全てを結審するでしょう。抑揚のない力のない歌声、一番張って欲しいところで張れない弱弱しい歌声、良く言えば味があるであるが、親戚でもないので、そこまで肩を持てません。レンジの狭い声質でもある為、歌メロも同じような音域を行ったり来たりとフックもない、それなのに用意している楽曲は歌モノである。

ここと折り合いがつくならば問題はないだろうが、どう贔屓目に見ても下手な歌である。彼の唄が予定通り全てを台無しにしている。その答えは⑦にあるだろう、男女のコーラスを参加させたことにより、唄の弱さをフォロー、そのおかげで俄然曲の良さがグッと出てくる。本来も魅力が発揮されているという事だろう。
バンドサウンドも、けして派手さはない。もっと言えば聴かせるようなパートがない。それだけ地味でる。あくまでもボーカルオリエンテッドな作風なのである、その唄が最強に弱い、だから聴いていて辛いに直結するのです。

②③④⑤とバラエティ豊かな曲が並ぶ、どの曲も今までの集大成のような魅力がある、それは⑥以降も続く、しかしである。これ以上の戯言は止めるが、これだけは断言したい。
今作は、遺作という事で、割と聴き易い環境にあるだろう、ある程度、ハードシーンにアンテナを張っている人ならば、耳にする機会もあったケン・ヘンズレーの死去報道、それだけに視聴する機会もあるだろうが、これが彼のマックスとは思って欲しくない。彼はもっと野心に溢れキレまくった演奏をしていた才能豊かなミュージシャンだった。2000年以降もライブでオルガンを弾いている姿は何とも頼もしいものであった。
そしてライブでのセットリストの9割HEEP時代をプレイしていた。それが全ての答えである。求められた姿と、本人がやりたかったことの違いは最後まで埋まらなかった。それでも、フックのあるメロを唄えるシンガーがいるだけで後世の評価を随分と違ったであろう。
ソロアルバムなのだから、誰にも邪魔されずにやりたいことをやるのは簡単である。でもそれでは商売にならない、唄える事と唄う事は別の話です。

きしくも、今年はレディインブラック発売50周年である。本家はケンの死を悼むように再発してきた。因果なものである。つくづく残念なアルバムになってしまった。

ワタクシはアイドルにうつつを抜かしたことがありません。だから、○○がいればよい。○○がセンターじゃなきゃ嫌だと言う感性がない。そもそも、その人がいれば何でも最高だなどの概念がない。ANTHEMは大好きだが、柴田直人のレゲエアルバムを聴きたいとは思わない。
音楽の話とは別次元の○○が好きだから、何でもかんでも傑作と言う糞センスを持ち合わせていません。人には理解しがたい溺愛指数100%の話には共感しますが、それを強要する人間には一切関わりたくないものです。下手だけど好きと、下手に聴こえないでは、大違いです。

さらに言えば専門誌を20年以上読んでいない、最近のトレンドを全く知らない浦島太郎オジサンである。そもそも興味がない。
メタル系の世界に一番必要のないものはポピュリズムだと思っている。知名度が評価に反映されることは絶対にない。ましてや、批評家の名前や点数に左右され自分の価値観が変えられる歳でもない。メディアの情報を鵜呑みに出来るのは、音楽聴き始めの、せいぜい2,3年でしょうね。
昭和、平成、令和ときて、何十年も前に、批評家がいったコメントを後生大事に抱えて生きられません。自分の人生や価値観を過去に置いてはいけませんのでね。



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