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FASTER (2011年)
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Recent 50 Comments



1. 火薬バカ一代 ★★ (2012-01-31 22:54:41)

KEN HENSLEY & LIVE FIRE名義で'11年に発表された最新ソロ・アルバム。
ARTCHのフロントマンとして知られ、世のマニア諸氏からは「北欧のブルース・ディッキンソン」との異名を取ったエリック・ホークが、シンガーとして参加している点に興味をそそられて購入した作品でしたが、ここでケン・ヘンズレーが披露しているのは70年代HR・・・というよりもURIAH HEEPのエレメントがあちこちに散りばめられた、僅かに触れただけで英国風味が鼻腔一杯に広がるかのようなヴィンテージ・ワインばりのコクと深み、そして格調の高さを湛えたブリティッシュ・ロック・サウンド。
エリックもそれに併せてリラックスした歌唱スタイルに終始しており、ARTCH時代を思い起こさせる雄々しい歌い上げは残念ながら封印されているのだが、その歌唱力は相変わらずスペシャル。
重厚にしてマジカルな①や、ヒネリの効いたシャッフル・チューン②という、いやが上にもURIAH HEEPを思い起こさせるケン・ヘンズレーの真骨頂と言うべき名曲2連発も難なくこなして一気にリスナーを作品世界に引き込んで以降は、泣きのGが心地良いバラード③、スケール感と包容力を併せ持った⑧、ハード・ロッキンな曲調に哀愁を帯びたメロディとドラマティックな曲展開が絡む⑪、そして生オケを加えてより優雅に蘇ったURIAH HEEPの“CIRCLE OF HANDS”のカヴァー⑫にて幕が降りるエンディングまで、あれよあれよの60分。
繰り返しの傾聴に耐え得る味わい深い魅力に、どっぷりと浸り切ることが出来る1枚です。




2. 失恋船長 ★★ (2020-11-07 15:13:45)

新たに動き出したケン・ヘンズレーのロックプロジェクト。シンガーにエリック・ホークを迎え、HEEPとメイデンの融合という、マニア心を擽る人選に否応なしに反応しますよね。

ケンの幻想的なイマジネーションを喚起するエレガントなオルガンプレイも随所にねじ込み、往年の空気を現代に再考。その空気感は①②で一気に惹き寄せてきます、浮遊感のあるハードでヘヴィな音像、ケン・ヘンズレーここにありと言った味わいを堪能、その流れを壊すことなく、メロウな③と流れていきます。歌い手としては、定評のあるエリックも、ここでは個性を抑え気味、というかブルース・デッキンソン臭を封じているように感じる。力めばブルースになるのだが、③で聴ける、黄昏た歌い回しの新鮮に響きます。

流石にファンタジーな初期型HEEPにブルースが参加と言う、こちらの安易な発想は木っ端微塵に砕いていますが、ある意味、ライブでケン・ヘンズレーでも歌えるような形、もしくはガイドヴォーカルに沿ってというような、裏事情を深読みして楽しんでいます。

押しなべて古典サウンドです。ポップセンスもそこそこに、60年、70年代と生き抜いてきた男の等身大の感性が無理なく披露させています。ある意味、峠を過ぎたアーティストと呼ばれるケン・ヘンズレー、もう少し絶対的な説得力のあるキラーチェーンがあれば良いのですが、持続させられなかったのが残念、その為、全体的に小さく収まったと感じるのも難点。やはりエリックはもっと歌える、ギターももっと我を出させるべき、そういうゲスト参加したアーティストが借りてきた猫状態に陥るプロデュース力には、些か疑問もあるが(自己顕示欲が強そうだと何故か感じる)概ね、彼に期待する音楽性を披露しており、古典サウンドを所望するマニアなら安心して手が出せる一枚です。

いい雰囲気なのに、余所行きの空気が個人的には感じてしまう。贅沢な悩みを吐露させるほど、ケン・ヘンズレーは偉大なアーティストだったはずである。



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