'17年の南米ツアー中重度の完成症に罹患し、右足切断という悲劇に見舞われたスティーヴ・グリメット(Vo)。現在はそれを乗り越えて復帰を果たし精力的に活動を継続している彼が、自らの名を一躍HR/HMシーンに知らしめる切っ掛けとなったバンド、GRIM REAPERを復活させ、'16年に発表した再結成第1弾アルバム(通算4作目)がこちら。 つっても嘗ての中心メンバー、ニック・ボウコットはミュージシャン稼業から足を洗ってしまい不参加。肝心のスティーヴに関しては、LIONSHEARTの2ndからこっち「ちゃんと曲を書ける人材を登用してくれ」と常々感じていたので、無名のメンバーと組んで果たしてどれほどの作品を作れるものか?と、正直事前の期待値はあまり高くなかったという。 しかしコレが聴いて吃驚。本作で披露されているのは、エッジの切り立ったGリフ&軽快に疾走するリズムといい、その上に乗る憂いを帯びて勇壮、それでいてキャッチー(←重要)なメロディといい、紛うかたなき在りし日のGRIM REAPERそのものなサウンド。ソリッドに突き進むアルバム表題曲②や、思わず拳を突き上げたくなる⑥、雄々しくメロディアスな⑩等、秀逸な楽曲をパワフルに歌い上げるスティーヴのVoも経年劣化を殆ど感じさせない全盛期の張りと伸びをキープ。多少地味な楽曲も彼が歌うことで3割増しで輝いて聴こえる神通力も衰えていません。 “SEE YOU IN HELL”や“ROCK YOU TO HELL”級のキメ曲は見当たらないので、一聴地味に感じられるかもしれませんが、繰り返し聴き込むことで徐々に魅力が浸透して来る燻し銀な1枚。そういう意味では2nd『FEAR NO EVIL』に近い仕上がりと言えるかも。