MANOWARの名曲“BLOOD OF MY ENEMIES”の歌詞の一節からバンド名を頂戴し、HEATHEN’S RAGEを名乗ったニュージャージー州ヤードビル出身の5人組が、'86年に発表した3曲入りEP。 「疾走感とメロディはACCEPT、ヘヴィネスはBLACK SABBATH、ドラマティックな曲展開はIRON MAIDEN、大仰さはMANOWARがお手本」とのメンバーの自己分析が正鵠を射るパワー・メタル・サウンドが非常にイカす1枚。パクリ?いやいや。これは「美味しいトコ取り」と評したい。付け加えるなら、遊びを排して直線的に畳み込むリズム・ワークはスピード/スラッシュ・メタル譲りで、全体を覆う硬質な雰囲気も、彼らが前座を務めたNYの先輩バンド達(ANTHRAX、OVERKILL他)からの影響が伺えたり。 緩急を活かして勇壮に迫り出す①、スラッシーな突破力を有する②、DIO辺りに通じる正統派HMナンバー③と、いずれ劣らぬ逸品揃いの楽曲をしっかりと歌いこなす、高音域の大仰な歌い回しがエリック・アダムスを彷彿とさせるシンガーもなかなかの実力者。随所でハモる2本のGと、アクティブに動き回るBと共に、この歌えるシンガーの存在も本編の劇的さ向上に多大なる貢献を果たしています。 たった3曲収録にも拘らず、聴き終えて大いなる満足感を得られる力作なのですが、現在では大量のボーナストラックも追加収録された2枚組アンソロジー盤が入手可能。こっちにも同一路線の優れた楽曲がザックザクで、つくづく「何でフル・アルバムを作れなかったのか」と、地団駄踏みたくなりますね。