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Смутное время

元ARIAであり、ソロで活動するギタリストのセルゲイ・マブリンとARIAの看板シンガーだったヴァレリー・キプロフの二人がメインを張るロックプロジェクトのアルバム。作品はこの一枚しか残していないが、今作は②でブルースをやったり、トリッキーなプレイを押し込んだ、明るめの③が序盤から登場と、古めかしいロシアンメタルとは違う路線を提示。欧州のシーンに打って出ようとする冒険心。局地的な音楽性からの脱却を目指しているように感じられ、ドリーミーなオペラロックナンバー⑥まで放り込み、バラエティ豊かな楽曲を揃え楽しませてくれます。
基本軸は正統派メタル、ロシア仕込みの癖強いスタイルではなく、もっとワールドワイドな感性に磨きをかけている。その修練の賜物は英詩タイトルになっている⑦なんかに現れているでしょう。
キャッチーなメロディとゴシカルな曲調、ゾクゾクを煽る高揚感、キーボードも効果的に使われドラマ性を増幅。唐突の終わるのはご愛敬だが、アルバムのハイライトとも言える大衆性も完備した世界観に唸る。
硬軟交えた質の高い音楽性、二人の名前を冠しただけの事はある聴き応えのある一枚へと仕上げています。もうちょいガチムチの硬質感や、勇猛果敢なスタイルを予想していただけに、いい意味で裏切られましたね。バラードも多めだしね。上手い歌と、アレンジの妙味。抜けきらないマイナー臭。これもロシアンメタルならではのお楽しみでしょう。正統派マニアにとってはARIA関連は外せないカタログですよ。

失恋船長 ★★★ (2021-01-03 16:57:46)