グラム・ロックの源流の一つとして、後続勢に多大な影響を与えたSWEETが'72年に発表した3rd。 英盤と米盤で内容が若干異なっており、自分が所有しているのは米盤ベースの国内盤(邦題は『荒廃の街角』)。リリース当時は英米のチャートを席巻し、近年でも映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:REMIX』の予告編にフィーチュアされたことで再びリバイバル・ヒットを飛ばした代表曲“FOX ON THE RUN”を収録、SWEETが「ヒットメーカーにお膳立てされたアイドル・バンド」から「よりヘヴィなサウンドを追求するHRバンド」へと歩みを進める分岐点となった名盤です。 初期から培ってきた甘くポップなメロディ・センスや、親しみ易いキャッチーなコーラス・ワーク、QUEEN等に通じる高音ハーモニーといった従来の魅力に、タイトで歯切れの良いハードネスが加わった本編は、前述の“FOX~”を筆頭に、賑々しい“ロックンロールは恋狂い”、曲名通りのタテノリ・ナンバー“A.C.D.C.”、重厚に舞うボーカル・ハーモニーが印象的な“THE 6 TEENS”、ヘヴィなリフとポップなメロディのコントラストが絶品な“SWEET F.A.”等、硬軟のバランスに優れた名曲がズラリ。中でもHEATHENがカヴァーし、個人的に本作購入の切っ掛けともなった逸曲“SET ME FREE”は、明快なメロディにアグレッシブな疾走感といい、「これ完全にHMナンバーじゃね?」ってなカッコ良さに満ち溢れていますよ。 CDだと更にボーナス・トラックとして代表曲“ACTION”(DEF LEPPERDがカヴァーしていました)まで収録されているという至れり尽くせりっぷり。下手なベスト盤に手を出すくらいなら、SWEET入門盤には本作をお薦め致します。