2015年発表の21作目。 印象でいうと前々作以上前作未満といったとこか。作品全体を通して聴く時に3曲目ってその後の曲を続けて聴くかやめるかの 分岐点になると思うのだが、本作はそこが弱い。ここに本作にはない疾走曲が入っていたら随分印象が違ってくると思う。4曲目以降がガッツのある曲が並んでいるので、非常に勿体ない気がする。 またラスマエの賛否が分かれるであろう”Kingdom Of The Cross”だが、僕はMANOWARの”KINGS OF METAL”を経験してきているだけに、老人の朗々とした語りの後は爆発的な疾走ナンバーが来てほしいのでフラストレーションが溜まる。主旨が違うのは重々理解してるけどね。 そこの2点が残念だけど、イントロのインパクトや流麗なギターソロはさすが!っと思わせる力は相変わらず健在なので、安心して聴ける一枚だよ!
サクソン節と呼べる泣きメロをふんだんに含んだ哀愁は円熟味を増しヘヴィだがスケールの大きなメジャー感が更なる高みへと押し上げているのも見逃せません。80年代から90年代に掛けてアメリカ進出を果たすも、音楽性の拡散と変貌により支持を急速に失い、またシーンの没落が彼らをアメリカの地からドイツへと向かわせるのですが、ドイツでは全ての時代で一定の評価と支持を受けており、面白い事に常に安定した規模の成功を収めていたのも見逃せません。すなわち早いだの遅いだの軽いだの重いだのアメリカンだだの、そんな一過性の問題をほじくり返すだけの不毛の議論で叩くのではなく、彼らの本質を常にドイツのメタルシーンは見定めていたのが凄いですねよね(そりゃヴァッケンオープンエアーのラインナップを見れば納得ですよね) 安定した基盤は音楽性の充実ぶりを生みだし何をするべきを見定めて、うつろいでいくシーンの中で自らのスタイルを誇示しつつも時代に合わせ作品を重ねてきた彼ら、ここには90年代の名盤『DOGS OF WAR』の匂いもあるし今風のソリッドな重量感、そして初期の頃の代名詞と言われるバイカーズロックもある、けして保守的にならず先鋭的に攻め続けてきた姿勢を貫いている。ヘヴィメタルの王道を行く彼ら、まさに等身大の魅力が詰まった会心の力作ですね。