アイアンメイデン初期の音楽性を語る上では外すことのできない我らがポール・ディアノ氏がドイツ人ミュージシャンを従えリリースしたのが今作。もう味せんやろと言われても噛みしだいたメイデンセルフカヴァー作品などで晩節を汚しつつあったポールだけに、今作のアナウンスは期待を持たせるものでした。だってメイデンカヴァーのボートラ無じゃん(笑)代わりにパープルの『Soldiers Of Fortune』をラストに朗々と歌っていますからね。気心の知れたドイツ人ミュージシャンと作り上げた今作は、古典的な手法に乗っ取りつつも、メタルコア的なニュアンスを巧みに取り込み、古臭いだけの音楽性に陥ることのないポールの歌唱を生かしたメロディックメタルを披露。『Architects Of Chaoz 』では中近東風のメロディをバックに歌いあげるなど新鮮味もあり、他の楽曲もメイデン風や出涸らしの出まくったNWOBHM風のそれとは違う楽曲を用意し新たなる魅力を提示してくれました。曲の出来云々は、リリースへ向けての経緯など、いぶかしげな面もあり胡散臭さが漂うのですが、ジャーマン風のメロディックメタルを歌うポールという組み合わせは過去にしがみつかずとも、独立してやっていける可能性を十分に示唆するバンドとなっていますね。次作がもしあるのなら、もうチョイ金を掛けて作ってくれると迫力もまして良くなるかと思いますね。