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Vattnet Viskar (Usher-to-the-ETHER)


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Vattnet Viskar

2012年の3曲入りEP。

このバンド、「ブラックメタルが好きな人が聴くポストブラックメタル」として、かなり良い線行っているのではないでしょうか。ポスト/シューゲイザー系はアコースティックやノイジーな音像に拘って、肝心のトレモロがそれ程重視されない事も珍しくはないですが、この作品はポスト系特有の儚さや繊細さを演出しつつも、がっつりと「ブラックとしてのトレモロ」を聴かせてくれるのが素晴らしい。

また、楽曲や音の構成もポスト方向に行き過ぎて、「ブラックメタル」「ヘヴィメタル」を逸脱したりしないのが良いですね。偏執的なまでに繰り出されるトレモロリフに込められたメロディは、エモーショナルさとダークさを両立させているし、ポスト系にありがちなナヨナヨした喉締めクリーンを用いず、全編ドスの効いたがなりで押し通すヴォーカルワークも素晴らしい。また、トレモロ偏重なスタイルながら、情景描写だけでなく、ヘヴィメタルとしてのダイナミズムも重視した展開もグッド。3曲目の溜めてから邪悪なエネルギーの奔流を叩き込むような展開には痺れました。

率直に言って、かなりの良作だと思います。現時点でもメロディセンスは優れているように思いますが、あと少しだけメロディそのものの印象度も上げてくれれば、もう完璧かと。個人的に「ブラックメタル」である事と「ポストロック」である事のバランスが理想に近い作風なので、今後このバランスが変に崩れない事を願います。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2014-04-23 20:58:25)