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MOIRA (2008年)
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MOIRA
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解説 - MOIRA

メジャー4作目、Story CDとしては6枚目となるアルバム。
よく間違えられるがタイトルは「ミラ」と読む。

古代ギリシャ神話風の世界観で、「運命」をテーマに物語が展開される。 何時ともしれぬ時、冥府にて、冥王タナトスが宴を催す。冥王はこれより「母を殺める者、すなわち冥王の器となる者」を迎えに行くと語る。一方、近代のとある地にて、あるロシアの考古学者が伝説に記された遺跡を発掘すべく、奮闘していた。神話と歴史が重なり、一つの英雄物語が幕を開ける。

というのが今回の大まかなストーリー。

CDには初回限定版と通常版が発売され、、両者はジャケットイラストが異なるほか、初回限定版は刺繍入り特製BOX・特殊ブックレット仕様となっている。また、アニメイト・とらのあななどの一部販売店では、店舗チェーンごとに異なる10種類の特典(ポストカード、ショッパー等)が製作され、うち8店舗はそれぞれ異なるyokoyanによる描き下ろしイラストが使用された。

Sound Horizonとしては初めてオリコンウィークリーチャート3位、デイリーチャート1位を獲得。
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コメント・評価

Recent 50 Comments



1. Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-09-03 15:41:00)

2008年発表の、メジャー4枚目となるフルアルバム。
…なんか、名作RPG「空の軌跡」のお金の単位みたいなアルバムタイトルですね(笑)。

描こうとする場面によって歌い手、語り手をスイッチさせていくスタイルは「Roman」や「聖戦のイベリア」で見せた路線と同じですが、明確なサビを持つ、ポップス寄りの構成の曲が多かった「Roman」とは対称的に、今作は「Chronicle 2nd」のミュージカル路線を更に押し進めた感じの作風になってますね。ただ、こちらの方が語りや寸劇の要素が曲のバックで流れるような感じになり、歌メロを食ってしまうと言うことがなかったり、全体的にクオリティがアップしていたり、より煮詰められているような印象です。

展開も転調を多用し、サビではなく曲全体で聞かせるようになった事や、歌メロも単に主旋律とハモりで聴かせるだけではなく、音域や声色の違うヴォーカルを絡ませて一つの旋律を織り上げていくようなものが増え、今までよりもスケールの大きな世界観を描く事に成功していると思います。ただ、そうしたアレンジにより、以前よりも少し分かりやすさは減退してしまいがちかもしれません。事実私も最初聴いた時は、何か凄いものに触れた実感はあっても、曲毎の印象は少し薄かったような気がします。

とは言っても、そんな問題は聴き込めばどうにでもなるものですし、1曲目に雑多なジャンルを詰め込みつつも分かりやすいダークさとキャッチーさで聴かせる曲、2曲目にハジけた語りを入れつつもロシア風の取っ付きやすいメロディで聴かせる曲と、愛想の良い曲をアタマに持ってきてから本編に入るという、聴き手を上手く引き込む構成や、ポップスどころかアニメソングでもなかなか無いレベルのクサい歌メロ、生楽器を多用した華美かつ絢爛、それでいて丁寧なアレンジなどによって、初聴であっても80分もの長丁場の間、リスナーをスピーカーの前から離れさせないパワーがある作品になっているのは流石というほかありません。

それでも敢えてアラを探すなら、相変わらず男性Voの人選は今一つ。前作でイマイチだったRevoさんのヴォーカルは、今回は作り声で歌ったりして結構頑張ってる感じなんですが、宇都宮隆さんのヴォーカルは浮いてる気が…。これだったら同人つながりで鼓太蝋さん辺りにオファー出したほうが良かったのでは。演じてるキャラと声もかなり合うと思いますし。

もう一つ、折角一つの芯が通った物語があるのに、人物名が明記されていなかったり、ギリシャ語で記されたり、変な所にこだわりがあるのは…凝っているというより、「ライトなリスナーに俺の物語を楽しんで欲しくない」「蒙昧なリスナーに俺が教養を付けてやるぜ」みたいな、思い上がった態度が透けて見えてしまう(妄想ともいう)のは残念。物語を無視してクサメロ詰め合わせ盤として聴いても恐ろしい破壊力がある辺り、名盤であるとは思うんですが、何かスノビズムを感じさせない工夫があるともっと良いと思います。

後は流通ですね。なんか値段の高い初回盤のみ仕入れてる店が多いんですけど…。店を幾つか回ってやっと安い方を買えましたが、これならちゃんと安い方も多く出回るようにするか、初回盤も通常盤と同じく、3000円前後で収まる値段にして欲しいです。店でCDを見つけたのにおあずけ喰らうのは、結構がっかりするので…。

そのコンセプチュアルでファンタジックな世界観や、シアトリカルな音楽性から時々批判の矢面に立たされる事もあるSOUND HORIZONですが、このアルバムを聴いて彼のメロディやアレンジのセンスまで否定する事が、果たして出来るでしょうか。最近、シンフォ系のアーティストでコンセプチュアルな世界観を打ち出すアーティストが増えてきているように思いますが、未だスケールの大きさ、メロディやアレンジのセンスではこのSOUND HORIZONが頂点にいる…聴いていて、そんな事を思い知らされた作品でした。




2. カモノハシ大佐 ★★ (2008-09-03 21:03:00)

マキシの「聖戦のイベリア」は個人的にいい出来で期待してたんだが……
何これ、進化しすぎでしょ
クオリティはさすがで世界観の壮大さに比例するようにアップしているといえるだろう。
クラシカルでシンフォニックなコーラスやメロディラインに悶絶することだろう。
無論、今までのSOUND HORIZONと同じで、語りが主体の曲も多く、ドラマCDっぽいところは健在。
圧巻のクオリティであるのだが、どこか寂しいのは「Ark」や「黒の預言書」のような圧倒的ともいえるキラーチューンが存在しないためだろうか。
「冥王」「奴隷たちの英雄」「死せる英雄の戦い」のように荘厳なスピードナンバーがそれに当たりそうだがどこか垢抜けてまとまりすぎているからか物足りなく感じるのも事実。
雰囲気は「ELYSION」よりも「Chronicle 2nd」に近いといえる。
クロセカ収録の「聖戦の死神」のような感じの曲が多い。
それにしても2曲目のじまんぐさんのはっちゃけっぷりは笑うしかないでしょうw
過去最高のはっちゃけぷりといえますw



3. Scarlet Destiny ★★ (2008-09-04 22:21:00)

これは凄まじいスケールのアルバムになってますね。
自分は"SoundHorizonはメジャーのフルレンスのみを聴いてますが、前作"Roman"が個人的に微妙だったんであまり期待せずに買ったんですが・・・良い意味で裏切られた感じです。
内容は"Elysion~楽園幻想物語組曲~"の様にアルバムを通して一つのストーリーを表していますが、今作はよりミュージカル風味が強くなっている印象。頻繁に語りや寸劇が挿入されながらも曲としてダレずにきっちり聴かせる構成は凄いと思います。それでいてメロディやアレンジも当然の様に優れているのは流石。
ストーリーも比較的王道な展開ながら、適度に難解な感じでいろいろ考察しながら聴ける内容になっていると思います。初聴のときは約80分の長丁場ながら歌詞カードに噛り付いて聴き入ってました。
王道的とはいってもかなり悲劇的で救いのない物語なので好みは別れそうですが・・・。
あと自分が買ったのは3800円する初回盤でしたが(それしかなかった)、刺繍入り特性BOXと30Pくらいある絵本の様な歌詞カードが特典でしょうか・・・?
買う前は正直、内容は変わらないのに無駄に豪華にして値段を上げないで欲しいと思いましたが、CDを聴いてみれば、まあこの内容ならこの無駄に豪華な装丁もありなのかな・・・なんて思ってしまいました(笑)。




4. オリンピア ★★★ (2013-12-08 01:49:17)

”物語音楽”としては
ひとつの到達点に達した感のある一作。


ただ、前作のような
明快で歌謡的な起承転結ではなく

あくまでも
物語に重きをおいた構成で、
1曲に2~3曲程度の分量が詰め込まれ
わかり易いカタルシスは減退気味。


それでも
ひとつ一つの旋律は豊潤きわまり、
複雑なハーモニーも伴って
凡庸さの遥か彼方を行く、高水準。


サウンドも
ロックなものは更にスリリングに
優雅なものはより優雅にパワーアップし

ロシア民謡やトラッドフォークまで取り込み
一大サウンド絵巻の様相。


主軸となる物語も
数回聴いただけで大枠は把握出来て、
そこも評価されるべき点だろう。


正直言って
ここで一呼吸おくか別路線の模索をしていた方が
結果としては良かった気もする。

それだけ充実している。



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