マーク・フリーが在籍したSIGNALの唯一の作品。 後に出るソロ「LONG WAY FROM LOVE」で聴けるしっとりとして芯の強い歌唱はここで既に披露されています(ARMS OF A STRANGERやCOULD THIS BE LOVEあたりはその中でも屈指の曲)。 ソロでもそうですが声の伸びが良いですよね、この人って。それでいて湿り気があるからカラッとした曲もバラードも何でも合うのが彼のヴォーカリストとしての魅力だと思います。 メジャーのEMIから出てるのに日本盤が未発売って・・・(UNRULY CHILDは出てるのに)。やっぱり出た時期が悪かったのでしょうか?
傑作の誉れ高い1stソロ『LONG WAY FROM LOVE』(’93年)の発表や、KING KOBRAの名盤『READY TO STRIKE』(’84年)の再発、更にブルース・ゴウディらと結成したUNRULY CHILDの始動等を経て、シンガーのマーク・フリー(現マーシー・フリー姐さん)に対する興味がグングン高まっていた時期にチェックしたのが、SIGNALが’89年に残していたこの唯一のアルバム。 SIGNALはマークと、元ALCATRAZZのヤン・ウヴェナ(Ds)らにより結成されており、本作のプロデューサーには売れっ子ケヴィン・エルソンを起用。哀愁成分こそ然程ではないものの、米メジャーのEMI RECORDSからのリリースだけあって、厚みのあるプロダクションを得て繰り出されるフックの効いたメロディ満載のハードポップ・サウンドは、梅雨時のジメジメを吹き飛ばしてくれるような爽やかさ満ちた仕上がり。特に本編開巻を宣言する①はメロディ愛好家からも名曲として太鼓判押される爽快なOPナンバーで、逆に「この曲以外はイマイチ」みたいな評価もあったりするようですが、個人的には断じて否を唱えさせて頂きたいところ。重厚な⑤、キャッチーな⑥、感動的なバラード⑦、レゲエ調の導入からサビへ進むにしたがって哀愁が増していく⑨、TRIUMPHも演っていた⑩あり…とどこに出しても恥ずかしくない逸曲が揃っていますし、加えて「まさに全盛期!」という力強さで伸びていくマークの艶やかなハイトーンVoがそれらの魅力を更に底上げしてくれていますよ。 昔も今も日本盤が発売されたことがない、ということ以外は弱点が見当たらない名盤じゃないでしょうか?