72年発表の彼らの3rdアルバムです。 前作『MOVING WAVES』で株を上げた彼らが満を持して発表したこのアルバムは、当時2枚組みの大作だったそうです。でも現在はCD1枚で出ています。 楽曲的にはそれまでのFOCUSと殆ど変化はありませんが、多少1st『IN AND OUT OF FOCUS』で見せたポップ色というか、明るい楽曲が戻ってきています。特に「Sylvia」などはもろに「狙った」感のあるポップ路線ですが、それでもやはり大陸の香りがするのはさすが。 僕が個人的に好きなメロウ路線の曲「Love Remembered」「Carnival Fugue」「Focus Ⅲ」などはやっぱり高品質で、こういう曲にこそ彼らの真の魅力があることを再認識させてくれます。タイス・ヴァン・レアのフルートは聴く者をホロッとさせる音色を持っています。 大作は2曲ありますが、どれも完成度の高い作品です。「Anonymus Ⅱ」は実に26分に及ぶ超ド級の大作ですが一瞬たりとも隙を許さない傑作です。縦横無尽に駆け巡るアンサンブルが心地いいです。ある意味変態やね(笑)。しかしやはり僕という人間は前作の「Eruption」と比べてしまう癖がありまして・・・やっぱりあれと比べるとちょっと劣るかなぁ~と思います。 因みに最後に収録されている「House Of The King」は1stに収録されている同曲の再録ですが、イントロのフルートソロの部分がカットされたショート・バージョンです。 総合的に見ると僕は前作の方が好きですが、このアルバムも大好きです。これを最高傑作とする人も多くいるとか。まあどちらにしろ良い作品ですね。 ちなみに僕は03年の彼らの来日公演を見に行ったのですが、本当に感動しました。 オリジナルメンバーはタイス・ヴァン・レアだけで、彼ももう初老のジェントルマンになってしまいました。しかもその時は病気か何かでフルートが吹けない状態だったのですが、それでも音楽に掛ける情熱を吐き出すようなその渾身の鍵盤さばきは、僕の心に深い印象を残しました。 演奏されたのはまさしくベスト・オブ・フォーカスといった内容の楽曲でしたが、それに混じって数曲ほど新曲も披露してくれたことに嬉しさを覚えました。また「Hocus Pocus」はあのライヴ盤どおり疾走大会でした!!!(笑)。 そしてショーの終わりに演奏された「Sylvia」の素晴らしさ!!!。あの感動は今でも忘れません。CDで聴いていた時にはそこまでの曲でもないと思っていましたが、ライヴで聴いて初めてそのメロディーの素晴らしさに気がつきました。当時僕はちょっと嫌なことがあって落ち込んでいたのですが、この曲のイントロが流れてきた時の周りのお客さん大きな歓声や、この曲を演奏してくれるFOCUSのメンバーの楽しそうな顔を見て僕まで元気が出てきました。素晴らしい曲です!!!。人々に勇気を与える曲だな~とそのとき思ったのです。