不発に終わった前作「White Snake」に続くソロ第二弾。 ルーツを顕わにした前作と同じ作風であり、こちらもほぼ黙殺されたアルバムだ。 では内容も前作と同じか?というとさにあらず。 煮え切らなかった前作から一転、カヴァデール全作品の中でも屈指の超傑作となっている! 前作でも素晴らしかったバラードに加え、MistreatedやCrying In The Rainの系譜となるドラマティックなスローブルーズも充実。 曲調自体は穏やかなアルバムだが、情熱的なヴォーカルによって熱く激しく心を揺さぶられる1枚だ。 これほど見事なヴォーカルアルバムはそうそうあるものではない。 前作からリズム隊は交替したが、続投のMicky MoodyとTim Hinkleyを中心としたバンドサウンドに整理されたのも良い。 女性コーラスやホーンが適度に抑えられ、「主役の魅力を引き出す」という一点に焦点が絞られているのだ。 それでは1曲ずつ見ていこう。 1. Keep On Giving Me Love ミッドテンポのブルーズロック。この曲は少々弱く、スタートのインパクトに欠ける。が、それでも前作のロックソングとは比較にならない佳曲に仕上がっている。 2. Northwinds イントロから感動的なロッカバラード。徐々に盛り上がっていくタイプで、ピアノ、オルガン、ギター、ヴォーカル、すべてのメロディが心に染み入る。 3. Give Me Kindness 気楽でのどかなムードのミッドテンポ。ロニー&ウェンディのディオ夫妻がゴスペル調のコーラス隊に参加しているが、言われてもよく分からない。非常にソウルフル。 4. Time And Again オルガンだけをバックに切々と歌うバラード。後のNeed Your Loveを想起させる素晴らしい逸品だ。あまりの切なさに時間が止まったように感じるほど。 5. Queen Of Hearts カヴァデールお得意のドラマティックなスローブルーズ。MistreatedやCrying In The Rainよりギター度は低いが、ライブでぜひ聴いてみたかった1曲だ。 6. Only My Soul 隠れた名曲として挙げられることの多いバラード。確かに素晴らしいが、本作に満載された傑作曲群の中で特出しているわけではない。どの曲も素晴らしいのだ。 7. Say You Love Me 前曲の激しい感情をなだめるかのように、穏やかなピアノに導かれるバラード。バラードやスローブルーズが続くが、バリエーションが豊富なので決して飽きない。 8. Breakdown オルガンの地響きに導かれるハードロックソング。WHITESNAKEのライブでも取り上げられた数少ないソロ曲で、初来日公演でもアンコールに演奏された。
9. Shame The Devil ここからは2000年の再発盤ボーナストラック。恐らく未発表のアウトテイクで、前作にありそうなファンキーナンバー。あくまでオマケ的だ。 10. Sweet Mistreater 前作と本作の間に製作されたシングル用の曲。寡聞にして不確かだが、お蔵入りしていたと思う。非常にポップで本編と毛色は違うが、なかなかの佳曲。
David Coverdale / Vocals Micky Moody / Guitar Tim Hinkley / Keyboards Tony Newman / Drums Alan Spenner / Bass with Roger Glover / Synthesizer Graham Preskett / Violin Lee Brilleaux / Harmonica