ワールドワイド盤は『BACK IN BLACK』のブレイクにつられて発売され、大ヒットしたが、ボン時代にはライブで取り上げられることも少なかった。 それを裏付けるような内容で、いくつかの名曲、佳曲を除いてまあまあの曲ばかりだ。 それらの曲もことごとく『LIVE』『BONFIRE』で聴けるため、全部のアルバムを聴きたい人間以外は無理に手を出さなくても良いと思う。
ところが、全部聴きたい人間にも鬼門。 オーストラリア盤にはR.I.P. (Rock in Peace)とJailbreakがあり、ワールドワイド盤にはLove At First FeelとRockerがある。 ワールドワイド仕様では、Jailbreakは『'74 JAILBREAK』で聴けるが、R.I.P. (Rock in Peace)は聴けない。 逆にオーストラリア仕様では、Rockerは名盤『T.N.T.』で聴けるが、Love At First Feelは聴けない。 全部聴くためにはどちらも買わねばならない罪深いアルバムなのだ。 1. Dirty Deeds Done Dirt Cheap 2. Ain't No Fun (Waiting Round To Be A Millionaire) 3. There's Gonna Be Some Rockin' 4. Problem Child 5. Squealer 6. Big Balls 7. R.I.P. (Rock in Peace) 8. Ride On 9. Jailbreak Love At First Feelはまあまあの曲だが、R.I.P. (Rock in Peace)もまあまあ。 アルバム単体で見ればJailbreakがあるだけオーストラリア盤の方が良いか? 集める場合にも他のアルバムとの兼ね合いからオ-ストラリア盤が良く、最後にLove At First Feel1曲の為にワールドワイド盤を買うことになるだろう。 また、Problem Childは『LET THERE BE ROCK』ワールドワイドバージョンより17秒長いが、大した意味はない。 さらに、アナログではDirty Deeds Done Dirt Cheapがエディットバージョンだったが、これはCD化されてない。
レコード会社をアトランティックに移籍し、'76年に発表された3rd(邦題は「悪事と地獄」)。 ワールドワイド盤は、2曲を入れ替えた形で'81年にリリースされた。 サビを共に叫ばずにはいられないタイトル曲「DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEAP」は、個人的にも彼らの曲の中で5本の指に入れたくなるほどの名曲。 延々と続くリフとメロディアスなサビのメロディとの展開がかっこいい「AINT NO FUN (WAITING ROUND TO BE A MILLIONAIRE)」、単純ながらもかっこいいリフの「PROBLEM CHILD」、ベースの奏でるリフがハード・ボイルドでかっこいい「SQUEALER」、けだるい雰囲気がムーディな「RIDE ON」といった曲は悪くないが、AC/DCの全アルバムの中では楽曲がちと弱い。 ワールド・ワイド盤では、ビッグなギター・リフの「LOVE AT FIRST FEEL」と前作「T.N.T.」に収録されていた「ROCKER」が収録されているが、彼らが産み出した中でも屈指のギター・リフを持つ名曲「JAILBREAK」が外されたのは痛い。 この曲を聴くためには'84年発表の「'74 JAILBREAK」を待たなければならないのだった。