‘96年にVAN HALENを脱退したサミー・ヘイガーが、'02年にSAMMY HAGER AND THE WABORITAS名義で発表した作品。 VAN HALENの偉大さは知っていても、代表作を2、3枚持っている程度でとても熱心なファンとは言い難い身ゆえ、サミー・ヘイガーのソロ・アルバムなんて更に興味の対象外になってしまうのは致し方なし。申し訳ない。しかしながら本作は、そうした一歩引いたリスナーの首根っこをフン捕まえてグイッと引き寄せるだけの魅力が備わっていました。 気の合う仲間達とリラックスして作り上げた感のある、伸び伸び開放的な作風と、サミー曰く「レコーディングから完成まであっという間だった」という短期集中型の制作過程が見事にマッチ。一応、映画『ロック・スター』挿入歌“STAND UP”がリーダー・トラックということになるのかもしれませんが、あの映画に全く好感を持ってないこっちにとっちゃ、それよりも2曲目以降こそが本作の本領ですよ。一緒に歌わずにはいられないリフレインを持つ②、爽やかな哀愁薫るメロハー③④、LED ZEPPELINのカヴァー・メドレー⑤、アクセルを踏み込んでブッ飛ばすハード・ドライヴィンな⑨といった楽曲の数々を、真っ赤に燃る炎の如き歌声がエネルギッシュに盛り立てる本編は、問答無用で聴き手を高揚させる爽快感に満ち溢れています。流石はVOICE OF AMERICA。ラストを締め括るドラマティックなバラード⑩にも涙がちょちょ切れるかと思いましたね。 どうせ能天気なロックンロール演ってんじゃないの?というサミー・ヘイガーに対する偏見を綺麗さっぱり払拭してくれる1枚。