人類至上最高売上は伊達じゃない。各々の楽曲の完成度は勿論だし、更に曲の流れが考え抜かれている。レコードでの話だが、最初の2曲で軽快に、THE GIRL IS MINEでポールと競演し驚かせながらもクールダウンし、かと思えばあの「ギィィィィ……バタン」のSEと共にA面ラストのTHRILLERが始まり、聞き手は逃れられない魔法に掛かるのである。B面では最初のBEAT ITで新境地であるロックを聞かせ、そしてBILLIE JEANでもう一度ピークを持ってくる。更にHUMAN NATURE、P.Y.T.、THE LADY IN MY LIFEと聞き手を最後まで捕らえて話さない構成になっている。まるで子供におやつをあげるように聞き手が次に何を聞きたいかが完全にわかっているのだ。そしてその全ての音がマイケルの歌の引き立て役に過ぎないのだからこのアルバムによってマイケルが80年代の音楽界を征服したのは当然の結果なのである。