1970年5月8日、Apple Recordsよりリリースされた12thアルバム。
1969年1月3~31日、Paul McCartneyの提案により『Get Back Session』が行われた。このセッションは「新アルバムのレコーディングに加え、スタジオでのセッションをすべて撮影し、その模様をドキュメンタリーにして放送、そして新曲を引っさげライブ活動を再開する」という、単に1つのアルバムを作るだけではないプロジェクトとして企画された。撮影されたフィルムは後に編集され映画『Let It Be』として公開されることになる。しかし、セッションで収録された音源をメンバーは気に入らず、終了後にその音源を使って制作されたテスト盤『Get Back』は、結局公式にリリースされる事は無かった。その後、『Abbey Road』の制作が開始されたため、この時点ではこのセッションはお蔵入りとなってしまう。その後、録音された楽曲に興味を失ったThe Beatlesがこのプロジェクトを完全に放棄するという事態に見舞われたものの、Appleがこのプロジェクトに大量の投資をしていたことから楽曲を廃棄する事が出来なかった為、John LennonやGeorge Harrisonらの依頼によりPhillip Spectorがプロデュースを担当。アルバム『Let It Be』(映画『Let It Be』のサウンドトラック)としてアルバムが完成(商品化)した。映画の公開にタイミングを合わせた事もあって、発売はレコーディングから丸1年以上経ってからになった。一方、『Abbey Road』は従来通りメンバーとGeorge MartinがAbbey Road Studiosで制作した作品であり、完成した翌月にはリリースされた。この件について、Ringo Starkeyは、世の中がどれ程よじれているかが分かる出来事だと述べている。また映画については、自分なりJohnやPaulなりが編集した方がずっと面白いものが出来ただろうと論評している。
イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では3週連続1位を獲得。アメリカの「ビルボード」誌では4週連続1位を獲得し、1970年度年間ランキング31位だった。「キャッシュボックス」誌では6週連続1位、1970年度年間ランキング14位。アメリカだけで400万枚以上のセールスを記録し、全世界では1,000万枚以上のセールスを記録している。
Recorded:February 1968, January–February 1969, January/March–April 1970
Studio:Abbey Road and Apple studios, and Twickenham Film Studios, London
Producer:Phil Spector, George Martin