異能の天才ダン・スウァノ率いるEDGE OF SANITYが作り上げた、このバンドの最高傑作にして、メロディック・デス・メタル黎明期を代表する名盤の1つでもある、'94年発表の4thアルバム。 前作『THE SPECTRAL SORROWS』において、ブルータルなデス・メタルに明確なメロディの流れを持ち込む事で、(CARCASSの『HEARTWORK』に先んじて)メロディック・デス・メタルなるサウンドを、世のメタラー諸氏に知らしめたダンだが、本作では更に、Key、アコギ、クリーンVoを用いた「美しさ」の演出、静と動の対比、それらを効果的に活かしたドラマチックな曲展開といった要素の数々を大胆に導入し、一層の音楽的進化を遂げている。 ヨーロッパ的なダークネスをたっぷりと含んだ流麗なリフ・ワークと、北欧のバンドならではの悲哀と激情を兼ね備えたメロディの素晴しさは出色で、特に、後半に向けてグイグイと高まりを見せる、哀しみに満ちたメロディが胸を締め付けるヘヴィ・ナンバー①、ブルータルな曲調に反して、リフやメロディには慟哭のドラマが宿る「メロデスかくあるべし!」な②⑥、ノーマルVoとデス声/緩急の使い分けが巧みな③、静と動、美と醜が目まぐるしく入れ替わり、インスト・パートでは劇的なツインGのハーモニー・プレイが炸裂する、本作のハイライト・チューンと言うべき④、全面的にクリーンVoをフィーチュアして、キャッチーに疾走する異色曲⑤といった楽曲が集まる、本編前半のテンションの高さは半端ではない。(当然、後半のクオリティも十分) ・・・とまぁ、この時点では間違いなくメロデス群のトップを快走していたEDGE OF SANITYだったのに、この後、ファン置いてけぼりの実験作『CRIMSON』で大コケした結果、ここ日本において急激に失速してしまったのは残念でならない。