メタル界の「狂獣」パンテラのメジャーデビュー作品。 ①のCowboys From Hellは南部の香りがする彼らの代表曲。リフが非常に衝撃的だった。この曲を聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。 あとの曲も全体的にジューダスプリースト+ダイムのリフセンスといった感じの正統派HMに仕上がっている。 狂獣はこの作品でメタル界に衝撃を与え、自作「Vulgar Display Of Power」で時代の流れを完全に自分達のものにする。
全体的な完成度としては,個人的には最高傑作の次作の『VULGAR DISPLAY OF POWER』には劣るが, PANTERA屈指の名曲①"Cowboys From Hell",⑤"Cemetery Gates"を収めてる点だけで必聴モノと思う。 それに加えて、次作以降ではほとんど聴くことができなくなる、④"Heresy"や⑥"Domination"などの、 正統派寄りのスピードメタルもとてもカッコいいし、モダン系が苦手な人でも聴きやすいのではと。
2ndの“Projects in the Jungle"が出た頃にPANTERAに注目していて、実は私、そのアルバムLPで持っています。当時は、新しいバンドを自分の耳で探して、友達同士で自慢するなんて言うのが流行っていて、若手バンドを聴きまくっていました。その時に聴いた中でも、PANTERAのダレル・アボット(当時の売り出し名)のギターは心に響きました。でも、バンドとしては、Def Leppardの二番煎じみたいで、自慢するには今一歩でした。暫くして、メジャーに移籍して第1弾として出たのがこのアルバム。当然大きな期待を持って手に入れました。
しかし、私、つまづきました。曲調や、ボーカルの感じがそれ以前と変わってしまったので、期待してしていたのと大きく違い、その印象を追い払うのに時間がかかりました。とりわけ、1曲目の"Cowboys From Hell"の出だしの電子音の繰り返しのような部分が、すごく取っ付きにくかったです。しばらく聞かないでいたのですが、“Official Live: 101 Proof"の"Cowboys From Hell"を聞いて、ぶっとびました。途中に、TED NUGENTの名曲"CAT SCRATCH FEVER(邦題:猫ひっかき熱)"のリフが出てくるではないですか。最高です。こういった大好きな曲のカバーの発見は、一気にカバーした側のバンドへの愛着心が芽生えます。特にこの場合、PANTERAとTED NUGENTの両方を知っている人は少なかったでしょうから尚更です。
そんなわけで、“Official Live: 101 Proof"を聞いてからは、PANTERAの大ファンです。このCDに納められている曲もライブ盤で聴くと、曲・メロディーと編曲の良さが映えますね。その上で、聴き直してみると、このCD自体、楽曲の音がとても良く、特にギターの音が最高で、間違いなくHM/HR史に残る名盤です。90年代にPANTERAのフォロワーがたくさん現れたのもうなづけます。それでも、PANTERAが抜きん出ているのはボーカルの力量にあると思います。フィル・アンセルモはこのアルバム以降、ダミ声一辺倒のスタイルになってしまいましたが、"Message In Blood"など聴くと、しっとりとした歌やハイトーンも十分魅力的なことが分かります。 そして、ギターはとにかく最高ですね。ダイムバッグ・ダレルは、完全に自分にしか無い世界を作り上げた、数少ないギターの一人と言って過言ではないでしょう。故人となってしまったことが悔やまれます。