94年4月日本発売のアルバム。邦題は「対(つい)」。かつてのサウンドよりもポップな要素が幾分取り込まれていて、プログレをあまり知らない人でも全体的に比較的しっくりきそうな印象。しかし昔からの音作りも健在。プログレらしさがそこかしこに感じられる。お勧めは5曲目のA GREAT DAY FOR FREEDOM,7曲目のTAKE IT BACK。5曲目の邦題は「壁の崩壊した日」。 ベルリンの壁崩壊からインスピレーションを受けたらしい。
94年発表。 ロジャー脱退後のPFのサウンドはやはり最盛期のそれと比べると少々霞掛かって聴こえなくもないのだが、主導権を握る者が変わった以上はそれはやむを得ない。 過去の作品はもちろん素晴らしいのだが、今作はそれらとはまた違っているとしてもやはり「PFらしさ」を随所に残し、なかなかの好盤に仕上がっているように思う。 今作のコンセプトは「コミュニケーションの欠如」ということであり、全体的に少し落ち着いた音になっている。 こういうのも決して嫌いではないので、ぜひギルモアにはこれからも期待したい。 何だか褒めているのかいないのか、有耶無耶なレヴューになってしまいましたが・・・。 何だかんだ言っても全英、全米ともに1位を獲得している作品。聴いてみては。 Poles Apart、A Great Day For Freedom、High Hopesが好きです。
前作「THE MOMENTARY LAPSE OF REASON(鬱)」は、奇才ロジャー・ウォーターズが脱退したこともあってか批判も多かった。 約7年ぶりとなる'94年発表の本作は、身を委ねたくなるような美しいサウンドが全体を覆い尽くしているという印象だ。 美しいピアノの「CLUSTER ONE」に始まり、威厳に満ちたサウンドの「WHAT DO YOU WANT FROM ME」、ギルモアの歌声が優しく包む「POLES APART」、流麗なギター・ソロが聴けるインスト「MAROONED」、天から一筋の光が差すような美しいメロディの「A GREAT DAY FOR FREEDOM」、まるでU2のような「TAKE IT BACK」、80年代ポップのような「COMING BACK TO LIFE」、絶望的な哀愁に満ちた「HIGH HOPES」等、PINK FLOYDの名に恥じない聴き応え十分の作品である。 全米・全英№1は伊達じゃない!
幸か不幸か、英語の分からない者は、音楽を単に音楽としてしか聴いていない。PINK FLOYD は、その中でも極めつきの純音楽的なバンドだった。 「THE DARK SIDE OF THE MOON」でその頂点を極めたあと、ウォーターズの文学趣味が高じていくとともに、サウンド的にはどんどんフツーになっていった。映像派の映画監督が社会派に変貌していくようなもので、内容はどんなに立派であったとしても、音楽としてはつまらなくなる一方だった。ギルモアでなくても、ウォーターズには「NO!」と言いたくもなってくる。 ウォーターズを欠いてもフロイドはフロイドだが、ギルモアがいなければフロイドにはならない。前作とともに、それを証明してみせた。
でも、レンタルビデオ屋でバイトしていた時、モラトリアム青年だった私は、 このCDとかメタルCDを店内で流していた。(バブルが弾けて、小さなビデオ屋 は軒並み潰れていった時代の、個人経営の小さいビデオ屋だったので、 好きなCDを掛けられた)「ああ、人生ってなんなんだろうなぁ」 なんて思いながら。その時流れていたのがこのアルバムのMaroonedからA Great Day for Freedomの流れの美しさだった。